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家族はつらいよのKengoTerazonoのレビュー・感想・評価

家族はつらいよ(2016年製作の映画)
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三世帯同居といっても中身はやはり核家族なのだろう。互いに自分らの家が大事だし、親のいざこざには巻き込まれたくない。

山田洋次は戦前の人だから価値観の流動を1番肌で感じた世代だ。その山田洋次が「家族はつらいよ」という題名にした。この作品はもはや「男はつらいよ」の寅さん的価値観は、通用しないと言ってる気がする。寅さんはシーラカンスのままでも受け入れられる時代であった。それが憎めない時代であった。橋爪功はシーラカンスでは受け入れられない時代にいる。言わなくてもわかるだろうという亭主関白は通用しない時代にいる。

今の時代に山田洋次は向き合い、ひたすらに今の家族の在り方、亭主の在り方を模索しようとしたのだと思う。ラストは一種の逃げを感じたが、こんなに時代に向き合う爺さんはいない。と私は思う。

彼は常に変わりゆく時代とそれに伴う価値観の対峙と向き合い、そこに喜劇と哀愁を感じ取っていたのだなと思う。
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