竜平

ブリッジ・オブ・スパイの竜平のレビュー・感想・評価

ブリッジ・オブ・スパイ(2015年製作の映画)
4.0
米ソ冷戦下、スパイが横行する時代。ある弁護士の男が請け負うことになる裁判と、それを皮切りに張り詰めていく国と国との問題、その行方やいかに、という話。実話を基にしたサスペンス的史実映画。

スティーヴン・スピルバーグが描く社会派ドラマ、そう彼はSFやファンタジーやアドベンチャーのみならずこういった作品でもその実力をありありと見せつけてくれる。『ミュンヘン』や『ペンタゴン・ペーパーズ』あたりにもあるその秀逸さ。見ていていろいろ予想がついてしまう前半は完全に布石でしかなくて、予想してた範疇の更に先を描いていく後半にまた楽しさが待ってたりする。見る見るうちに引き込まれていく内容、ドンパチなどでは決してなく、まさに「冷戦」の静かなる争い。アメリカ側の視点であることは間違いないんだけど、なんともハラハラ、歯痒いというかもどかしいというか、先の読めない展開。サスペンスとそこに掛かるヒューマンドラマのバランスが非常に上手く、国と国という大きな話なのに人と人みたいな些細なものも見えてくるあたりグッとくる。実在の人物でもある主人公ドノヴァンをトム・ハンクスが安定の好演。弁護士や人としての「信念」で動いてるように思うその様、なんとも勇ましくて、逆境をものともしない姿が印象的。終盤、敢えて描かず、けれども想像させるような流れも素晴らしい。そこにはちょっとした切なさもあったり。題材となるのが戦争というのもあるし、全部が全部ハッピーエンドで終わることはやっぱりありえないんだよなと、そんなことを理解した次第。

派手さみたいなもので勝負しない、会話や渋さで魅せる良作。小さい頃にはこーゆー系絶対に見れなかったなーなんて。いやはや好き。
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