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ルイの9番目の人生のemilyのレビュー・感想・評価

ルイの9番目の人生(2015年製作の映画)
3.8
難産の末生まれた9歳の少年ルイ・ドラックスは毎年必ず事故にあい生死をさまよってきた。9歳の誕生日には崖から落ち、意識不明の重体に。。助けようとする担当医や家族に不思議な現象がおこりはじめる


ルイの過去の軌跡を彼の目線で綴っていく。何を思いどう生きてきたか?たった9歳の少年がなぜ毎年生死をさまよう事件に巻き込まれてきたのか。。昏睡状態の今は担当医と母親が交差する中で、不穏をちりばめ、今と過去を行き来しながら謎を解き明かしていく。ルイ目線で描かれる過去、昏睡状態でさまよう今、心の友との会話、ファンタジータッチがサスペンスを包み込み、ジャンルを超えたミステリアスさが物語に深みを与え、主人公の少年のさまざまな表情に魅せられる。

女性達の含みのある言葉、無残に踊らされていく男たち。わかっていても止められない美女を前にしてたじろむ男。女性の冷酷さが徐々に不気味に映り、核心にゆっくりと迫っていく。歪んだ愛の形もルイの目線で語られるとファンタジーで時に美しく、残酷で、それでしっかり確かなものが見えてくる。かわいそうなんかじゃないんだって彼の声が聞こえてくる。たしかにそこには深い愛があった。それをしっかり感じることができたから。あったかい絵本のような気持ちを残してくれる。
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