SHIROHITO

ナイトクローラーのSHIROHITOのレビュー・感想・評価

ナイトクローラー(2014年製作の映画)
4.1
『Nightcrawler』

なんで本作のジェイクギレンホールがオスカーノミネートされなかったのが不思議。
減量して頬がこけて目玉が少し浮き出た表情と演技はこの映画の肝である自己顕示欲満載のサイコ野郎を不気味に味わい深くしてたのに。笑顔が恐い。

監督のダン•ギルロイ、これが初監督って凄いな。兄は『フィクサー』とか『ボーンレガシー』のトニー•ギルロイ。

内容***********
無職で逼迫しているルーはある日、テレビ局にスクープ映像を売り込む為に事故現場にきたカメラマンと出会う。それに触発されたルーはスクープを撮るカメラマンの世界で成功しようと動きだすのだが、次第により大きな成功を掴む為に彼の行動はエスカレートしていく……。
******************


脚本家出の監督って会話が面白くて好き。本作もジェイク演じるサイコ野郎のルーが凄い表情と勢いで相手を畳み掛けるシーンがあるけど、もう見ていて気持ちがいい。

作中起きる全ての事件を主人公が追いカメラにおさめることで、今や映画では見慣れてしまっている銃撃戦やカーチェイスや死体といったシーンが、恐怖や興奮をより明確に観客に与えていたように思う。まるで自分も一緒に事件のスクープ映像を撮影しているような気分になった。

また題材的に、撮影シーンはPOVにしがちだけど、そうしなかったのも良かった。
POVやファウンドフッテージものはやっぱり事後記録としての意味合いや暗黙の設定があるし、記録の中身に意味があるけど、この映画は撮る側 (主人公たち) の緊張感や衝撃映像を撮りたいという狂気を含んだ貪欲さが根幹だしね。


この映画は生活に逼迫していて、成功する為なら手段を選ばない1人のイカレ野郎が、どんどん「倫理やモラル」を逸脱していく話だけど、
倫理って何だろう?とか考えちゃった。
あんな倫理的にアウトな事をしても、視聴率欲しいテレビ局みたいな、それを良しとしてしまう悪がいるってのは現実にもよくあることだよね。
週刊誌なんてもんがこの現代にまだ存在してるし。ウソや有名人の盗撮写真ばっかなのに。モラルや倫理はどこよ。
結局の所、倫理なんかで世の中回ってない。
モラルで飯は食えないってか。

最終的にはそういうことを皮肉った映画なのかと変なとこに着地した。結局みんなイカれてる。


最後に二言。

夜の街を猛スピードで駆け抜けるダッジのチャンレンジャーはカッコいいわ!あんな車いらないけど、1度やってみたい!

故意にクソみたいな賃金で人をゴミみたいに使う人間は死んでいいと思う。リックが不憫で…怒りに震えた…
SHIROHITO

SHIROHITO