100分あまりで、セリフが20もない。
抑えて、抑えて、ミニマムにして描き出す。とても静かな映画。
お話は全然違うけど、小屋を建てる手間の良さなど、黒澤明の「デルス・ウザーラ」を思い出した。
あんな中洲に小屋建てるんだ〜
畑作るんだ〜
収穫までするんだ〜
きっとあのおじいさんと孫娘の生活では、肥沃な土地は土地代払えず、耕せないんだろう。
誰と手を出さないような、不便で危険で小さな中洲の土地。
でも、あの家族にとっては、大切な生活の糧の土地。
淡々と生活や労働をするさまをずっと追い続けているカメラ。
自然の中で黙々と働く姿を映し出すカメラが秀逸。
この映画唯一のドラマ、つまり、他者・他世界からの訪問者との関係。
正直、説明セリフは一切省かれているので、あくまで私の観た感じの推測ですが、
おじいちゃんは、この負傷兵も、自然の一部として受け入れたのではないだろうか?
名作テレビドラマ「北の国から」の中で、誰のセリフか自信がないが、
「北海道の人間は自然が厳しいから、全てを受け入れる覚悟できているんだよ、」て
思想に似ているんじゃないかなど思う。
ただ、このおじいちゃん、受け入れられないことが一つだけある。
それは、大事な大事な孫娘の成長、変化、
このことがわかるおじいちゃんの表情、
純朴ながら、どこか女性としての成長も少しずつ感じ始めている女の子の表情、
セリフがないだけに、それらがより伝わってきます。
ちょい分かりにくい部分もありますが、不思議と退屈はしないし、
あまり知られていない国のようすを知れるのも楽しい。
静かな隠れた名作です。