ひでG

とうもろこしの島のひでGのレビュー・感想・評価

とうもろこしの島(2014年製作の映画)
3.7
100分あまりで、セリフが20もない。
抑えて、抑えて、ミニマムにして描き出す。とても静かな映画。

お話は全然違うけど、小屋を建てる手間の良さなど、黒澤明の「デルス・ウザーラ」を思い出した。

あんな中洲に小屋建てるんだ〜
畑作るんだ〜
収穫までするんだ〜

きっとあのおじいさんと孫娘の生活では、肥沃な土地は土地代払えず、耕せないんだろう。

誰と手を出さないような、不便で危険で小さな中洲の土地。

でも、あの家族にとっては、大切な生活の糧の土地。

淡々と生活や労働をするさまをずっと追い続けているカメラ。

自然の中で黙々と働く姿を映し出すカメラが秀逸。

この映画唯一のドラマ、つまり、他者・他世界からの訪問者との関係。

正直、説明セリフは一切省かれているので、あくまで私の観た感じの推測ですが、

おじいちゃんは、この負傷兵も、自然の一部として受け入れたのではないだろうか?

名作テレビドラマ「北の国から」の中で、誰のセリフか自信がないが、

「北海道の人間は自然が厳しいから、全てを受け入れる覚悟できているんだよ、」て
思想に似ているんじゃないかなど思う。

ただ、このおじいちゃん、受け入れられないことが一つだけある。

それは、大事な大事な孫娘の成長、変化、

このことがわかるおじいちゃんの表情、
純朴ながら、どこか女性としての成長も少しずつ感じ始めている女の子の表情、

セリフがないだけに、それらがより伝わってきます。

ちょい分かりにくい部分もありますが、不思議と退屈はしないし、
あまり知られていない国のようすを知れるのも楽しい。

静かな隠れた名作です。
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