トモロー

スノーデンのトモローのレビュー・感想・評価

スノーデン(2016年製作の映画)
4.2
世界中のあらゆる情報にアクセスでき、全ての人間を監視できる。数十年前まではSFの世界のものと思われていた技術が、すでにこの現代世界に存在し、しかも稼働している。

しかもこのシステムには、紛争地帯や容疑者、政治犯の区別はない。アメリカ、ロシア、中国、そして日本などあらゆる地域のあらゆる人々が対象だ。

国防のため、世界秩序のための必要悪とも言えるシステム。しかし、まさか自分がその監視下に置かれているなんて想像にも及ばない。実際、ボク自身この映画を観るまで、スノーデンの一件は対岸の火事としか認識していなかった。

しかし、その現状を目の当たりにして行動したのは、20代で才能あふれ、そのまま出世コースに乗れば将来が約束されたも同然だった若者だった。そんな彼が目の前に敷かれる正しさを前に、身も心もすり潰されそうになりながら、監視の目をくぐり命を賭けた告発に踏み切る。

事実は小説より奇なりという言葉がぴったりなほど、脚色の必要ないドキュメンタリー。このまま世界の歩みが進む前に、立ち止まって是非を問わねばならない。そんな彼の覚悟の重さと、あくまで1人の人間に過ぎない彼の人間性に、ボクらは絶対に目を背けてはならない。

今を生きる人々が知るべき現実を、ありのまま見せてくれる映画でした。
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