トモロー

GODZILLA 決戦機動増殖都市のトモローのレビュー・感想・評価

GODZILLA 決戦機動増殖都市(2018年製作の映画)
3.9
①膨大なスケールはそのまま、人間模様の揺らぎをますます増幅

前作は、絶望をまとったような巨大なベールにつつまれたゴジラの、圧倒的な姿にただただ見ほれてしまった。そして、数万という年月で故郷を追われてしまった人類の反撃という名の咆哮に、こう、痺れるものがあった。

主人公・ハルオがぶつける絶対破壊の王者に怒り、恨み、勝利への執念は周りに伝播していって、種族を超えて人類が結束し立ち向かうという一本の筋が導かれたのが第一章でのこと。

そして今回は、そんな決死の作戦をゴジラに嘲笑われるように蹴散らされたところから始まる。

しかも今回は、まだその全容がわからなかったメカゴジラが登場するというのだから、以前以上のスケールを期待せざるを得ない。

でも、本シリーズの象徴的なシリアスなドラマは、怪獣対怪獣じゃなくて「怪獣対都市にまで増殖した怪獣の戦い」という、あくまで人類を主軸に据えた戦いをチョイスしているのがいい。

戦いの手綱を握るのは、あくまで人類なんだというメッセージ。

しかし、今作では破壊者に届きうる刃を前に、合理性と倫理との戦い、罪悪感と大いなる正義とのせめぎ合いとの間で人々は大きく揺れ、前作で生まれていた一枚岩に大きな亀裂を生んでいく。

ゴジラを倒すという唯一絶対の目的に、用いられる手段に対する認識がもたらす大混乱が、第一章ではなりを潜めていたハルオの本質をガンガンえぐり出していった。

痛々しくなるような人間ドラマ。ああ、誰よりも苛烈な物言いで人を鼓舞するこの青年は、本当は誰よりも優しい子なんだと思わされるシーンの数々。

超ハイレベルのロストテクノロジーを舞台に繰り広げられるバトルシーンの迫力、あの馴染み深い腹に響くゴジラの咆哮の中でドロドロしく進む人間ドラマ。

まるで転げ落ちるように痛々しく悶え苦しむ主人公がたどり着くクライマックスが本当に切なくて、鑑賞後いくぶんも沈み込んでしまった…。

②どう収拾をつけんの?というまさかの第三章へのつなぎ

ハルオの心をバッキバキに折るような展開で幕を閉じた本作だが、第三章へのつなぎも本シリーズならではの圧倒的スケール感がバッチリ生かされている。

というか、本当に次作でうまく終わるのだろうかと不安なくらい、徹底的な展開。しかしながら、本作は宇宙スケールという大規模な舞台を用意しながらも、ゴジラという作品の様式美や往年のキャラクターへの愛情が随所に感じられる。

今回初登場となった種族であるフツアの正体が垣間見えるセリフや特性を考えると、きっと物語の帰結には彼女らがいう神の残した卵が関係するんだろう。

そうなると、思い浮かべるのはあの怪獣だけ。それがどう出てくるのか、もう待ちきれない!

③まとめ

物語の第2部というのは、得てして沈みがちなもの。物語の展開としては非常に暗いんですが、早く11月になってほしいという期待感を随所に漂わせてくれました。

この大スペクタクルゴジラ作品がどう幕を下ろすのか、もう首を長くして待っていたいと思います。
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