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SHARINGのstのレビュー・感想・評価

SHARING(2014年製作の映画)
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「目覚め」の映画。死んだはずの恋人の影を追いかける"夢"からの「目覚め」が徹底的に繰り返される(し、何ならその「目覚め」そのものを何度も連続して反復するシークエンスが途中存在する)ことからも、「目覚めよ」「気付けよ」と篠崎誠に語りかけられてるような感覚になってくる。枕を捨てよ、現実へ出よう。

大学(構内)=「内側」の世界=「夢」の象徴だろうか。影を求め構内を彷徨う瑛子(山田キヌヲ)を、カメラ(=「夢」を外から覗く第三者?)が追う。意図的なのか予算の都合なのか、カメラの動きは覚束なく拙い。ジンバルを使ってるはずなのに視点がブレブレである。洞窟のように暗い廊下を走る瑛子を追いかけ、とうとう白昼の「外側」の世界に出ると露出が振り切り白飛びしたりしている。なるほど瞳の明順応か?と解釈すると夢からの目覚めというところにも通ずる。

ちなみに件の『仮面/ペルソナ』を思わせる画面分割クローズアップの採用は監督曰く編集段階で決まったとのことだが… キラーカットでもあるし、"share"の原義(←ゲルマン祖語 skerana「切る」)そのものでもあるし、『SHARING』制作の中でどこまで自覚的だったのかはいさ知れず。兎角いずれにせよ一見では咀嚼しきれない映画。ショートバージョンもいつか観てみたいな。
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