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アベンジャーズ/インフィニティ・ウォーのStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

サノス無双、というかサノスが主役の映画。それを最後の"Thanos will return"という一文で示すセンス。

ラストカットのサノスの澄んだ眼差しのやりきった感にすべてが表れている。

彼の思想と行いは、『インフェルノ』(2016年)の悪役と同じである。すなわち、「生物の存続のためにその半分を殺す」。その人物造形は「エコテロリスト」(特典映像のスタッフインタビュー参照)と言い表されていた。

上記のように単純な暴君とは描かれないサノスではあるが、私が今作で最も悲惨だと思ったのはネビュラだ。

ソウルストーンを手に入れるために愛する者を犠牲にしなければならない展開から、サノスがガモーラを本当に愛していたことが明らかになる。ここで思い出されるのは彼女の妹ネビュラだ。ガモーラに負けるたびに身体のパーツを交換されていった彼女は、ほぼ全身が機械の身体である。何故自分を暗殺に来た彼女を殺さなかったのか問われ、サノスは「部品の無駄だ」と言った。彼女の身体が機械になるごとに、サノスの愛情も薄れていったのだろうか。ガモーラとネビュラでは、養父から受けている愛情の度合いが違う。そこに最も悲しみを感じた。

アヴェンジャーズに関しては、『シヴィル・ウォー』で仲違いしているので当初からいくつかのグループで別行動をしている(特典映像によると、「アヴェンジャーズの絆がもっとも弱まっているときにサノスが襲ってくる」設定らしい)。面白いのは、監督のルッソ兄弟は『キャプテンアメリカ/ ザ・ウィンターソルジャー』でMCUのトップ監督に躍り出たにもかかわらず、キャプテンの描き方がアイアンマンやGOTGの面々に比べて薄いことである。トニー・スタークはDr. ストレンジやハルク、スターロードとの関わり合いの中であいかわずのエゴマニアックなキャラを開陳するが、キャプテンは新しいキャラとは出会わない。従って、「このキャラとキャラがぶつかったらどういう反応をするのか」という楽しみを担わない("I am Groot." "I am Steve Rogers."のくだりくらいである)。本作ではトニー・スタークとソーが初顔合わせの触媒的な存在を担い、展開を牽引している印象である。キャプテン好きの自分としては少々物足りなかった。この点は次作に期待する。

余談だが、エンドロールで、エグゼクティブ・プロデューサーにジェイムズ・ガンが名を連ねていた。SNSにおける不用意な発言を掘り起こされGOTGの監督を降ろされた彼だが、ここまでMCUの運営に深く関わっていたのかと驚いた。GOTG3では彼の脚本が使われるらしいが、これからシリーズは一体どうなるのだろうか。
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