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エル・トポの&yのレビュー・感想・評価

エル・トポ(1970年製作の映画)
5.0
【2014/6/18:UPLINK】
10代の頃はガルシア=マルケスや寺山修司といった妄想力誇大系文学に陶酔し「映画なんてもんは想像力が欠如した輩が観るもんだ」などと調子ぶっこいた(恥)発言カマしてたわたしは、この作品を観て驚いた。というよりも、平伏した。ごめんなさいほんとごめんなさいもうしませんすみませんでした!
愛欲性欲肉欲、近親相姦、無情、悟り、欺瞞、隷属と服従、虐待などなど。それらを宗教観の下に綯い交ぜにして比喩暗喩介さず直接的に映しだしているので、普通ならもっと現実的な画になりそうなものなのに、その「直接的さ」が過剰すぎて寧ろ強烈な寓話性を帯びてる。監督の妄想フィルター通すと現実をもこうなるのか?その脳内をそのまま映像に落とし込むとこんなことになるのか?他人の誇大妄想が自分の脳内を侵食して、自分の想像力の置き場が圧迫される不思議な感覚!「想像力が欠如した輩」が観るもんだと思っていた「映画」そのものに、自分の想像力を追い出されそうになった。自分が信じてた自分の想像力なんて、いかに陳腐なものであるか!あああマジでごめんなさい。
改めて観るとやや雑さはあるものの、恐ろしく甘く美しく、叙情的。それでいてちゃんと面白い。一般的な評価ほどに観づらい作品ではないと思う。話自体は難解ではないし、女に現を抜かし子を捨て、卑劣な手口で崇高なガンマンを陥れるあたりはすごく人間臭い。と同時に、凡庸さも皆無だが。
オールタイムベストと言い切るには抵抗がありますが、個人的には「コレ好きな人とは気が合いそうだな〜」って作品でもあったり。リトマス試験紙的な。
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