太平洋戦争終戦の日、玉音放送がながれる直前、一部の陸軍将校が宮中を占拠し、クーデターを起こすという騒ぎがあった。本作はその顛末を描いたもの。
これにかんしては、すでに1967年の岡本喜八の映画があり、その異様な内容と迫力に震えたおぼえがある（この旧作を見るまで、ぼくはそんな不穏なクーデターがあったことすら知らなかった）。本作はそのリメイクということになる。
原田眞人は「クライマーズ・ハイ」や「突入せよ！あさま山荘事件」など、社会的な題材を描きつつ、骨太のエンタメに昇華させる力量のある監督だとは思っていたが、今回のリメイクはちょっとハードルが高いのではないかと懸念していた。
杞憂に終わった。岡本喜八版とはまったく違ったアプローチで、リアリティを重視つつ、極力説明を排した、みごとな歴史サスペンス映画になっている。
役者陣の本気度もすごい。モッくん昭和天皇になりきっていた。
いちおう歴史ものなので、鈴木貫太郎とか、阿南惟幾とか、米内光政とか、昭和天皇とか、主要な登場人物については、なんとなく知っておかないと楽しめない。あと、台詞がむかしの言い回しなので、日本語字幕をONにしたほうがいいと思う。
