順慶

怒りの順慶のレビュー・感想・評価

怒り(2016年製作の映画)
3.2
3人の素性の知れない男たちの3つのストーリー。それらは絡むことなく、イメージでうまくつなぎながら、それぞれが慟哭のラストを迎える。

高評価なんで、ハードルを上げ過ぎたか。

「信じる」ということなんだけど、観客には3人うち誰かが犯人とわかっているので、誰も信じられない。騙されていると思いながら見てしまう。
犯人探しってわけじゃないけど、一応ミステリーなんで、誰が犯人かは最後まで明かせない。だから思わせぶりの演出が続く。その思わせぶりが鼻についた。

それぞれのストーリーにメッセージ性もある。でも「恋人たち」のほうが濃かったしグッときた。

犯人の「怒り」に、いまいち共感できなかったし、殺害にいたるエピソードも薄かった。私憤を公憤にできていないので、感動も薄かった。

あと、取調室で犯人を語る男、こいつが一番やばいと思った。なんかすごい狂気を感じたぞ。

それにしても豪華キャスト。迫力の演技もすごかった。
「信じたい」という思い、「信じていたのに」という思い、「信じていれば」という思いが爆発する。
坂本龍一の音楽をバックに、あの叫びは泣きましたよ。
順慶

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