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怒りの8637のネタバレレビュー・内容・結末

怒り(2016年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

面白かった。というより、胸に尖った物を突きつけられた感覚。七人それぞれの涙に、僕も堪えきれず涙を流した。

誰もが誰かを疑ってる以上に信じてるのかもしれない。信じることは人間にとっての発作的な作用なのかもしれない。だからこそ愛子は、無実だと分かっても泣き続けていたのかもしれない。
編集が見事で完全に三つの物語は同化していた。でも実際は一つの事件でしか絡み合っておらず、容疑者で無くても、他の2組にも軽くはない運命がのしかかっている。

そう、これは騙しだ。
「鑑識の結果...」の後口ごもり、重いバイオリンが鳴り始めた瞬間の鳥肌と興奮が忘れられなくて、あんなに反直感的に真相を明かされるなんて...と思っていたら違かった。

日本映画だからこそできた重厚な空気感の出し方であって、そこに関してはさすがだなと思っている。
これは余談なのだが、撮影が僕の大好きな短編「狼煙が呼ぶ」の笠松則通氏だったのも良かった。

そして、日本が誇る最高の俳優達の演技。
妻夫木聡の号泣にはいつももらい泣きしてしまうな。
しかしそれよりも僕がすごいと思ったのは沖縄パートでの森山未來と佐久本宝のシーンだろうか。殺人者の精神異常に関しては描き過ぎだとは思ったが、佐久本宝の役柄は東宝とはいえ有名俳優じゃないからこその若々しさや慟哭さだったんじゃなかったかと思う。

2016年のランキングには絶対に入れたい。
明らかに、ざらの邦画とは違う異臭を放っていた。
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