OASIS

クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃のOASISのレビュー・感想・評価

2.9
クレヨンしんちゃんの長編劇場版第23作目。
ひろしが部長への昇格を引き換えに転勤する事になり、春日部からメキシコへとやって来た野原一家。
新たな生活にも慣れ始めた頃、街に出現した巨大サボテンから生まれたキラーサボテン達が住民を襲い始めるという話。

「キラーサボテン」というタイトルのモンスターパニック映画を、クレヨンしんちゃんの世界観でやってみましたというような感じだった。
定番のギャグやクレしんらしいモンスター達の撃退方法なんかもありつつ「ロボとーちゃん」の後とは思えないほどのノリで「ヤキニクロード」や「カスカベボーイズ」に近いギャグ路線。
けれども、サボテンがうねうねしながら人を飲み込んで行く描写は対象年齢くらいの子供からしたら結構な怖さがあると思うのだがどうだろうか。

序盤は「マダクエルヨバカ村」へと引っ越す野原一家とご近所さん、カスカベぼうえいたいとの別れをしんみりと描きいきなり感動的な場面をぶっこんで来る。
家財道具が全て片付けられた部屋を見て「この家って、こんな広かったんだな...」と言うひろしの台詞からの回想とかもうズルくて泣いちゃうし、風間くんとの別れもなんかこれが最後みたいに気合入ってたしこらまたウルウルしてしまう。
園長先生役の納谷六朗さんが亡くなった事もあって、台詞が無いんだろうなと思っていた園長が喋っているシーンとかでもちょっと泣きそうになってしまった。

というように、前半だけでいわゆる感動路線のクレしん映画を詰め込めるだけ詰め込んだ感じで終了し、メキシコへと舞台が移ってからはいつもの劇場版のノリへ移行。
ボンキュッボンな先生や金の亡者な町長、人の迷惑かえりみず歌いまくるマリアッチや言い訳ばかりの臆病なルチャ・リブレの選手、歩きスマホばっかりしてる女の子などメキシコっぽいキャラクターが出て来て、サボテンに襲われてBARに立て篭もったり、車で逃走したり、占拠された橋を奪還する為に作戦を立てたりと本格的にB級映画っぽい雰囲気に。
クレしんの劇場版の中で急に劇画調になったり真面目な顔になったりする場面が個人的に大好きなので、ひろしが靴下を銃みたいにクルクル回すシーンとかがツボだった。

毎回出演するゲスト声優の人選が謎なのだが、今回のエレキテル連合とブスドルは本気で誰得。
特に、エレキテル連合の方は本人役で登場して本人のネタを披露するという、初めから滑ることが確定しているような登場で子供すら笑っていなかったのでストーリーにも観客にも必要が無かった。

カスカベぼうえいたいとの劇的な別れを描いていながら、その後は一切描かないという薄情なのかキレが良いのか分からない展開はどうなのか?と思いつつも、しんのすけと風間くんが同じ虹を見上げて遠く離れた町にいても考えている事は同じなんだなと子供達の友情を感じる映画で、しんのすけよりも風間くんの方が好きになってしまいそうなお話だった。

野生犬と化したシロが毛羽立っていて格好良かった。

@イオンシネマ茨木
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