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ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューションのOASISのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

スーザン・コリンズ原作のYA小説を実写化した「ハンガー・ゲーム」シリーズの完結編。
監督は前作、前々作に続き「コンスタンティン」等のフランシス・ローレンス。

前三作を劇場で「観てしまった」からには、最後までスクリーンでその有終の美を見届けようと思い観た。
今回も前回に引き続き、三分程度の短い時間でかつ要点をおさえた前三作品分のあらすじが語られるので、シリーズ自体に特に思い入れの無い人にはかなりの親切設計で、状況が飲み込み易く入り込み易くなっていた。

内容は、カットニスをリーダーとする第13地区の反乱軍と、スノー大統領が支配する独裁国家パネムとの全面戦争を描くというもの。
前回のPart.1は反逆への完全なる準備段階となっていたが、今回はもちろん戦闘がメインになっており派手な場面が頻発する為シリーズで唯一眠気を感じなかった。
ただ、前回は次作へ繋げる為に進行を遅らせ無理矢理引き延ばしている感は否めなく、今回も前半部分のやりとりにタルさを感じる所もあり、果たして前編と後編に分ける必要があったのかという疑問も湧いて来た。
正直、前編の内容をほとんど覚えていないという。

国家側に洗脳されてしまったピータの正気を取り戻させる為突入作戦に同行させるが、そこで案の定ピータがナイスなタイミングで苦しみ出し、彼を救おうとするカットニスとピータとの距離も縮まって行く。
シリーズを通して描かれて来た、カットニスの心がゲイルとピータの間で揺れ動くという恋愛描写も、アクション部分とのバランスがほどよくて恋愛脳丸出しという風にまでは映らない具合なのが好印象。
仲間から「あんた、恋愛したりリーダー面したり、一体何を考えてるの?」と思わず突っ込みを入れられてしまうほど、相変わらずカットニスの行動原理が分からない部分もあるのだが。

国家側が配置した自動迎撃ポッドを撃破したり、地下から潜入するという場面が、ミュートなるモンスターも登場して来て「あれ?メイズ・ランナー2だったっけ?」と思ってしまった。まさかの逆輸入なのか。
とはいえ、追いかけて来るモンスターから逃げ回る場面はシリーズを通して全く感じた事が無いスリリングさを感じて、今作が一番面白いんじゃないだろうかという気も。
まぁその追いかけっこも肝心のゲーム部分とは全く関係ないのでタイトル詐欺もいいところだけれども。

ただ、演出的に一番面白いのはそのシーンだけで、最もテンションが高まって来るクライマックスについてはその呆気なさに閉口。
カットニスやスノーでさえも利用し大統領の位置に就こうとしていたコインを、スノーの死刑執行場面で逆に討つというのは結構燃えるシーンではあるのに、その演出が本当に盛り上がらない。
カットニスがスノーに向けて弓を引く場面では劇場の誰もが「絶対その上にいるコインに向けて放つだろう」とニヤニヤしていると思ったのだが、それを踏まえたとしても普通にピュッと撃ってバタッと倒れるという芸の無い方法には「盛り上げる気あるんかい」と突っ込んでしまった。
多少ベタでも構わないので矢をスローにするとか...コインもあっさり死ぬので「ヤラレタ」という悔しさも全く伝わって来ないし。
第一、コイン側も反逆する事を想定して防御してないのもおかしいだろうと。

散々盛り上げといて最も大事な部分で台無しになってしまった感はあるが、シリーズを観てきた者としてはなんだかんだ言って感慨深いものはあったし、ゲイルじゃなくてピータを選んでくれて心底良かったと思う。
心なしか、ジェニファー・ローレンスもシリーズ一作目から比べるとだいぶ人妻感が増して大人っぽくなっていたような。
何はともあれ、めでたしめでたし。
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