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エイリアン:コヴェナントのSSDDのレビュー・感想・評価

エイリアン:コヴェナント(2017年製作の映画)
3.4
◼︎概要
地球環境は汚染され、見切りをつけた人類は企業ごとに安住の星を事前に調査。バイオロイドと乗組員、移住者を乗せ、コールドスリープを使いながら長い航行を行っていた。
ある時、唐突のフレア現象により船体が損傷乗組員達が叩き起こされてしまう…。

◼︎感想(ネタバレなし)
エイリアン作品の集大成とし、起源を解くとするプロメテウスの続編で、前作の出来から世間からは期待値が薄く興行収入的にも振るわず。

前作観たため期待値が低かったからか今回は安心した品質…ともいえない。
結局エイリアンという題材を使ったもので求められるニーズと、監督が描きたがる内容の乖離が激しかったのだろう。

しかし前作の失敗からか、前作よりもかなり娯楽志向に作られており、難解さは皆無でしっかりとしたSFゴアホラーは実現している。

エイリアンシリーズの怖さは宇宙空間内の宇宙船内という密室で、対話不能かつ獰猛で未知の生物が、神出鬼没に現れ殺戮を繰り返しながら増殖する恐怖がウケた。
それを今から続編やるとなれば、パターンは多くはないか…。
・当時の恐怖を上書きするリメイク
・新たな謎を生み出す
・今までの謎を解く

期待していたのは"エイリアンが出るリドリー・スコット映画"ではなく、"エイリアンをリドリー・スコットを描く"ことだったので、悪くはないが彼のコアファンではない私にはそこまで響きませんでした。
まぁ元々エイリアン、この監督なんですが。

しかし一定量迎合してもらった感はあり楽しめるシーンはありました。











◼︎感想(ネタバレあり)
・描く人間像が頭が悪すぎる
前作でもあったが縦に回転する巨大構造物なのだから横に逃げろよ!とオイオイな頭の悪さがあった。
今回も古典ホラーのような穴だらけの思考で脚本詰めなかったのか不思議なほど。

-事故ったからといって知らん惑星に行く
-磁気嵐のリスク無視で着陸開始
-防護服なしでピクニック
-パニックで可燃物の前で銃撃戦
-救ってくれた相手の傷口を覚えてない

未調査の惑星に必然的に行くことになったという理由にしては、事故ったしコールドスリープしたくないという心理的負荷だけでリスクが等価ではない選択しないでしょ。とか、防護服もないのはフレアの事故で特殊素材が破損したとか理由つければいいのに。

可燃物前の射撃は夫が"あそこまで怯えた妻を見たことがない"と言っていたから、あのゼノモーフこんにちは!を目の当たりにしたから仕方ないかなとは思う。

ここだけなんか古い映画の悪いところでパッチ当てがえてない感じが強い。

・神話的ストーリー
アンドロイドは創造主である人間と対話し、造像主(人間)の創造主を探す旅に出るという神を探す話。
アンドロイドというものに魂は存在するようになるかという普遍的な問いを描くブレードランナーをまだやりたいんですか。という主眼が完全に人類ではなくアンドロイドに置かれた話なのに驚き。

人間という神は"神は自分に似せて人を造った"という聖書に倣うようにアンドロイドを作るが、"不老不死である代わりに創造性がない"という特性で生み出す。

アンドロイドは愛を知り、人(神)のように人を愛して子を成せないと知ると怒り、神との子を造ろうとする。
生殖能力がないことからゼノモーフを寄生させ進化させるという手段を取る。

そして不完全体(兵器としては完全体だが)の卵が産まれ、粒子状の寄生体を生み出して感染させるという生物が出来上がり、人間とエンジニアを絶滅させる…。

まるで神話の神と人のハーフが、神を殺すという物語のようだ。

・総評
エイリアンを用いた神殺しの神話という、"アンドロイドはエイリアンの夢を見るか"というまさかのエイリアンとブレードランナーのミックスができるとは思いませんでした。
ある意味プレデリアンに近い、配合種がまたも産まれたわけですな。

多作品の生命体同士配合ではなく、作品自体を配合したというある意味画期的な内容に面白かったとは一概には言えないですし、オチもアンドロイド2体いて、容姿を寄せるために髪切り始めた時点でみえてしまうのはいただけなかったですね。
映画的には似た見た目の登場人物は観客の混乱を呼ぶので特殊事情あることモロバレしますし。

最後コールドスリープするまでデイヴィッドは入れ替わりであることを見せないという狡猾な手口は、人間の頭の悪さと反比例してましたが…いやあのクルー達騙す程度簡単だな。

しかし新世界の神となりワーグナーを聴きながら、ニヤニヤとしたように見える表情を浮かべるアンドロイドという不気味なシーンは好みでした。
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