イルーナ

ステインボーイのイルーナのネタバレレビュー・内容・結末

ステインボーイ(2000年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

かのティム・バートンが手がけた短編アニメ集。
登場人物の多くは、同じく彼が手がけた絵本『オイスター・ボーイの憂鬱な死』から出演しています。
そこから主役に抜擢されたのは、「しみ」をつけることしか能のない謎のヒーロー・ステインボーイ。
いやほんと、「しみ」というセンスが絶妙。一見何かしら不思議な力が湧いているように見えて、基本的に何かを汚すことしかできないというのがね。
歩く時もベチャベチャとした音を立てているのが印象的。
こんな設定ですので、当然普通のヒーローものの話になるわけなどなく……


1話
ただじーっと見つめるだけのステアガール。
別に害とかなさそうですが、とにかく逮捕しなければならないらしい。
で、どうするのかと言うと、ただにらめっこしてるだけw
どんなに視線をそらそうとしても、絶対に合わせてくるステアガール。
やがてしびれを切らしたステインボーイから、影のようなしみが彼女の頭上に伸びていき……
まさかのスプラッターオチ。そして、ステインボーイが自身の能力を有効活用した唯一のエピソード。
奇襲にならギリギリ使えるかも?

2話
常に毒物を摂取してなければ生きられないトキシック・ボーイ(ロイ)。
弱点はきれいな空気で、森林の香りのポプリを近づけられたとたん絶命してしまう。
彼の悲痛な叫びやのたうち回り方が痛々しい。
生きてるだけで周りに害をもたらすばかりか、そもそも普通の環境では生きることすらできない彼は、絵本版含めてもトップクラスに哀しい存在かもしれません。

3話
ボウリングブームの栄光が忘れられないボウリング・ボール・ヘッド。
人気を取り戻すためにやったことは、見せしめにボウラー達をあの世送りにすること。
……いや逆効果でしょ?!
路地裏に忍び込んだステインボーイが、ボウリングのピンやゴミ箱に封鎖される場面はなかなかのサスペンスだったのにw
彼が自滅した後頭上に乗っかって得意げにしているステインボーイは可愛いですが、よく見ると背後のゴミ箱から2名の死者が……
どう反応していいのかわからんw

4話
人間と電気ミキサーの不倫(?!)によって誕生したというロボット・ボーイ。
お、今までの敵の中では一番強そうだなと思ったら……また自滅w
あと、この回は巡査部長の描かれ方がやたらおかしい。
見たかった番組の名前が『COPS WITHOUT TOPS(上半身裸の警官)』なだけでもアレですが、ステインボーイが戻ってきたら他の警官たちと上半身裸で盛り上がっていたという……w

5話
可憐でセクシーで恋の炎で相手を焼き焦がしてしまうステインボーイの元カノ、マッチガール。
声の担当は当時のバートンの恋人リサ・マリー。
本作の後の『猿の惑星』で破局したことを考えると、最後の「今回の件でお前も火遊びは怖いと思い知ったろう。これからは安全に遊ぶことだな。捨てておけ!」がかなり怖くなります。

6話
珍しく平和な日を迎えたバーバンク。ステインボーイは自らの人生を振り返る。
生まれは普通だったのに、その体質のせいでおむつ代がバカにならないという理由で父親に疎まれ、孤児院に預けられることになった彼。
そこには自分と同じ異形の子供たちがたくさん住んでいたが、ある日巡査部長によりスカウトされ、現在に至る。
つまり彼は、親に捨てられたばかりか、同類と敵対することになってしまったというわけか。こう書くと悲劇のヒーローですね……
また、1話の超格安ドライクリーニング店の伏線がしれっと回収されてたり、ラストのテレビ番組が巡査部長とのいつものやり取りになってたりと芸が細かい。
ブッツリと終わるのも、ある意味本作らしいというか。

アニヲタwikiにまとめた記事
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/52140.html
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