開明獣

ネオン・デーモンの開明獣のレビュー・感想・評価

ネオン・デーモン(2016年製作の映画)
4.0
「ドライブ」で、カンヌの監督賞を獲ってから一躍メジャーに浮上した、ニコラス・ウィンディング・レフン。とんがった暴力的な描写に独特の映像美の作家だが、「ドライブ」ではハリウッドの作法にしたがって創ったと言っている。以来、惑い、苦悩し、葛藤するレフンをこの作品でも見た。

メジャーになったら、これまでのように、やりたい放題には作れない。多額の資金を投資家が投資してくれるのは、カンヌ監督賞のブランドがあるからで、リターンが見込めない作品を作ってしまったら、即、干されてしまう。そんなシビアなビジネスの状況に置かれたら誰でも苦悩することだろう。

前作のメイキング映像でも、ものすごく視聴者の反応を気にしていて、本作もそれがすごく出ている。「ドライブ」前のレフンなら、もっと訳の分からん映像を延々と見せつけながら、散々世界観を演出しただろうに、本作ではよく言えば分かりやすく、悪く言えば忖度してしまっている。

でも、やりたいことをやり切れてない焦燥感が逆にクリエイティビティにはいい方向に働いてるのかもしれない。制約ある中でこそ、創造性を発揮出来る映像作家も多くいるのだから。

このくらい抑えてもまだ世間的には過激だと思われる異端児レフンから、まだ当分目が離せそうにない。
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