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ネオン・デーモンのan0nym0usのレビュー・感想・評価

ネオン・デーモン(2016年製作の映画)
3.5
神戸ビーフとか松坂牛とか…

新鮮なうちは誰もが『高級な肉』だと思って、食べてみたいなんて思ってる。

そのうち賞味期限が近くなって、特売品の列に並んで…『高級だった肉』になる。

賞味期限が切れたら…商品ではなくなる。

行き着く先は…腐肉?(*´-`)

グロい系なのね…なんとなくそんな気がしてたから警戒しておいて正解だった(苦笑)

とにかくアート&シンボリックな表現を垂れ流してましたね。ネオンの人工的な光が、美の持つ醜悪さを照らし出す…そんな悪夢的な作品。冒頭が劇的皮肉になっていて最後は…バートリ・エルジェーベトのような猟奇的な妄執で締める鬱展開。

青から赤に変わる三角ミラーのシーン。
ブラック・スワンでいうpas de deux。
血に毒が融けていくみたいな…自意識の変質の描写。ここが転換点。

みんな私に成りたがる…ですってよ(笑)

色々と極端に描いてあって、毒素が強い。
まぁ、それがメインの映画だけどね。

みんなファニング推しだけど…
私は断然アビー・リー✨(*´꒳`*)

佇まいが違う。鋭さが凄い。
歩き方ひとつが芸術の域。
あれこそトップモデルのウォーキング。

トップブランドのデザイナーたちから寵愛を受けた、かつての『妖精』ってのも、作品のテーマに合ってるかもね(爆)

唐突ですが…

私は『絢爛』という言葉の作りが好き。

この言葉の中にあって、頂点に訪れる衰退を想わせるのが『爛』の文字。

最高潮を意味していても『爛れていく』という残酷さを併せ持っている。

苺ジャムを見ると、想起したりする。
甘さを添加されてドロドロに溶けた様は、瑞々しい果実だったものの顛末にも思えるから。
無残で…なのに甘ったるい。

私がなるならマーマレードがいいな。
ジャムになっても苦みを失わない(笑)

そんな事をトーストをサクサク食べながら考えてたりする。

この作品、ちょっと変態的だけど…
嫌いではない。

完成されてるのに亀裂が走ってるというか…
そこに宿っている破滅的な美しさ。

無垢ゆえの残酷さ。
慎重さの中に介在する大胆さ。

相反するはずなのに同居してるアンバランスな感覚って…心の触覚を刺激する。
若さも…そういうアンバランスなもの。

グラスが硬い床に落ちていくとか…
真っ白な紙にインクが染みていくとか…
熱を失っていく炭とか…

叩き付けられて、砕け散る。
黒く染まり、白には戻らない。
二度と熱を取り戻さず、灰になる。

だからこそ、瞬間は美しい。
愛おしくなる。

かつて私はオリアンティになりたかったけど…私は私を磨いて、もっと私になろう。
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