じぇれ

ゴースト・イン・ザ・シェルのじぇれのレビュー・感想・評価

3.6
ハリウッド版は、作り手の攻殻愛とリスペクトに満ち溢れた良作だった!

とはいえ、この映画に何を望むかで、評価は大きく分かれるでしょう。
押井版の哲学的な深遠さを求めては肩透かしを食らいます。
この作品は、ブロックバスターを狙って生み出されています。(結果はともあれ)
そのため、世界各国の老若男女が楽しめるエンターテイメント大作に仕上げることが義務づけられている訳です。
だから、無名の日本人女優ではなくスター女優スカーレット・ヨハンソンを起用したのです。
当然脚本も、観念的で難解なものではなく、誰もが呑み込みやすい構成にせざるをえません。
描写も、R指定がつくようなグロテスクさは回避しなければなりません。

そんな制約の中で、ビジュアルはそのままに、可能な限りオリジナルに忠実な世界観を構築することに、見事に成功しています。
また、主人公を日本人女優にできなかったことを気にして、大胆な脚色でスカヨハ起用に意味づけを行っています。
「漂白問題」なんて風評被害です。むしろ溢れ出る攻殻愛が柔軟剤の役割をはたしているほど。
中国の制作会社が2社も入っているにも関わらず、これほど日本への配慮をしてくれたことに、私は感謝しています。

また、長くなっちゃいました(^。^;)
ハリウッド式SFアクション大作の定型の域を抜け出せず、エポックメイキングとはなれなかったのも事実。
しかしながら、ハリウッド流攻殻の幕開けとして、スカヨハ少佐登場編として、堂々たる作品だったと思います。
できれば、続編を作れる興行成績を上げてほしかった。。。

☆オリジナルとは全く異なるたけし=荒巻。私的にはアリです。『Brother』から飛び出してきたヤクザのような佇まいが、いいアクセントとなっています。オリジナルのイメージのままの荒巻では、この脚本のクライマックスは成立していなかったと思います。
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