三隅研次節炸裂。エキセントリックな自主映画のような実験的編集の数々に痺れた。
画面を2分割して右側には勝新太郎が歩き、左側には江戸の巨大な地図がスクロール。
左側が北町奉行所にズームインした瞬間に、ダーンと音楽が鳴り、タイトルバック「御用牙」キレキレの編集です。
現代の映画よりよっぽど1960-70年代の日本映画の方が自由に撮られている。ハリウッド式の脚本術のように、主人公が葛藤し成長するヒーロー物語ではなく、つよつよ主人公が難事件を解決していく。ヒーローの成長譚ではなく、ヒーローを劇場に観に行く時代。
70年代特有のシンセサイザーとトランペットの音楽が少々ダサいが、凛とした俳優と陰影を用いた照明で画面が引き締まる。
なんといっても、勝新が自分のイチモツを熱湯や棒で叩き、鍛え、そのイチモツを使って女を快楽づけにし、白状させるというトンデモ展開に笑いが止まらなかった。しまいには米俵に穴を開けて自慰行為。なんでもありだ。
勝新映画には、腕力で押し切るトンデモ展開が沢山あって面白い。