暴力に次ぐ暴力。制裁に次ぐ制裁。
パワハラや主に野球部に蔓延る暴力の源流は戦前の軍隊にあることがよくわかる。
甲子園における行進や丸坊主といった仕組みは、そのまま軍隊教育から受け継がれたものだが、あまりこれを指摘する人は少ない。
軍隊的な制裁や可愛がりは、社会が一つの目標に向かって走る右肩上がりの時代は成功したのかもしれないが、不確かな時代はその矛盾が一挙に噴出する。
とにかく胸糞悪い。戦争を直視すればするほどに胸糞が悪い。
あれほど暴力を嫌悪していた仲代達也が、自分を守るために暴力を行使しなければならない環境に身を置き、変容していく。
この映画は戦後の良識(戦争を止めればよかった論)が、戦前にタイムスリップしたらどうなるか?という社会実験だったのかもしれない。