喜連川風連さんの映画レビュー・感想・評価

喜連川風連

喜連川風連

映画(314)
ドラマ(25)

ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)

4.0

鳥肌が立てば良い音楽。

そう語ったのをなぞるように、最後鳥肌が立った。

日常の音、全て音楽である。
そういうと大げさかもしれないが、途方もない量の音の階層が積み上がって、映画という交響曲が奏でられ
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拝啓天皇陛下様(1963年製作の映画)

4.0

慶應卒、野村芳太郎監督一流の、痛烈な皮肉がきいた戦争映画。朗らかに、軍隊生活を描きながら、底流では徹底的にバカにしている。

「恐れ多くも天皇陛下におかれましては」
と言うだけで、背筋を伸ばす軍隊を何
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続・男はつらいよ(1969年製作の映画)

3.5

ディスカバージャパン。
落語の寄席に行った後のような快さが寅さんにはあって、ついつい観てしまう。

話の細かい筋は覚えてないが、良いものを見た気にしてくれる。

ある師匠が言っていた
「角を曲がりゃ、
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男はつらいよ(1969年製作の映画)

4.0

なぜこれほどまでに、郷愁と共感を感じるのだろう。そしてなぜヒットしたのか。

同時代。日本のいちばん長い日がヒットした理由について
「オリンピックを目標に走ってきた日本人が、どこへ向かえばいいか分から
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淵に立つ(2016年製作の映画)

3.5

突然踏み込まれた他者によって奪われる平穏。

他レビューに「地獄の寅さん」とあったが、言い得て妙。

他者が入ってきたときの異物感を丁寧に描写。家族3人の朝食シーンでは、絶えず会話があったものの、4人
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らくごえいが(2013年製作の映画)

2.0

落語を映画化した映画。
三部構成。
最後の猿後家がいちばん面白かった。

part1 1.0 元ネタねづみ
感情移入もないままに、取ってつけたような葛藤と脚本家のあるある話。

身内ネタも甚だしく、こ
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悪い男(2001年製作の映画)

4.5

セルフの少ない、画で語る映画が好きだ。
是枝作品の長回しは冗長で苦手だが、キム・ギドク作品は見てしまう。

情報が極限まで削ぎ落とされているため、長回しでもあれこれ考える余地が残っていて好きだ。

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ベテラン(2015年製作の映画)

4.0

あーこれぞ、エンタメ。韓国語は口論が様になる。声がでかく、言い合いに見入ってしまう。

警察官が負傷した傷でマウントを取り合う様に笑った。

序盤をオシャレなカットバックでつなぎ、見せる部分は見せる。
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激動の昭和史 軍閥(1970年製作の映画)

3.0

わずか2時間で足早に226事件からサイパン陥落までを描く。

東條英機が「まだ日本は戦えるし、負けることはあり得ない」と力説しながら、悲惨な戦争写真が背景で流れるシーンが白眉。

まるで演劇のような、
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台北セブンラブ(2014年製作の映画)

2.5

蜷川実花をやろうとした台湾映画。

資本主義や承認欲求の虚像が、ヘルタースケルターによく似ている。

カッコいいイメージを持たれがちな「デザイン」を丸裸にしていく。

デザインという言葉は、日本に輸入
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ラストムービー(1971年製作の映画)

3.0

デニスホッパーの幻の映画。

ハリウッドが門外不出とした理由も分からなくないが、作家性全開で大変良い。

映画はウソだ現実をみろ!という映画はたくさんあるが、映画撮影を過剰にやることで、現実をぶち壊す
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アキラ AKIRA(1988年製作の映画)

4.0

パトレイバーが押井守の描く東京ならば、AKIRAは大友克洋の描く東京。

どちらも、都市開発や地上げにより、失われつつあった東京がたくさん出てくる。

AKIRAの連載が始まった1982年。終戦からわ
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ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)

4.0

映画を実際に作ろうとするとき、どうしても色々な言い訳が頭をもたげる。

カメラがない、スタッフがいない、役者を集められない、金がない。
そしていつしか脚本はお蔵入りになっていく。

それでも作ったらい
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機動警察パトレイバー2 the Movie(1993年製作の映画)

4.7

パト1でエンタメ娯楽をやり、パト2で骨太社会派思想ドラマをやる!

不正義の平和か、正義の戦争か。
禅問答のような問いかけが全編にわたって続く。

魚眼レンズで歪められた表情・幻影のような東京の街並み
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機動警察パトレイバー THE MOVIE(1989年製作の映画)

4.0

1989年インターネット黎明期の期待感がたまらない。

埋め立て・再開発・地上げ、時代が後ろに下がっていく寂しさ・復讐心と犯人の動機が絡み合っていく。

節操のない東京という街への復讐。
この映画の主
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老人Z(1991年製作の映画)

4.0

1991年からすでに言われていた高齢化社会。

これを全自動介護ロボットの導入による科学技術によって、乗り越えようという話。

介護ロボットや街の作画に、高い技術力を感じる。

老人の乗る介護ロボット
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スチームボーイ STEAMBOY(2003年製作の映画)

3.0

圧倒的な作画とロストテクノロジーがもたらす世界観に酔いしれ、小学生の頃に、よく観ていた。

蒸気機関で動く空中船を、機関車で引っ張って地上に叩き落そうとするシーンが好き。
破壊につぐ、破壊はこの映画最
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選挙(2006年製作の映画)

3.5

政治信条と魂がある政治家がいれば、権力を手にしたいだけの政治家もいる。

小泉改革のなか、中身のない「改革」を叫び、川崎市議会議員選挙に挑む男のドキュメンタリー。

政策について、質問されてもしどろも
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なぜ君は総理大臣になれないのか(2020年製作の映画)

4.7

今年、劇場公開映画で1番の傑作。

13年にわたって1人の純粋な理念を持った政治家に密着し、等身大の悩みに迫る。

ここには、キャラとしての政治家やうわべだけの虚飾が一切ない。

国を良くしたいという
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悪太郎(1921年製作の映画)

3.5

世界三大喜劇王バスター・キートン
著作権切れのため、YouTubeで見放題。

かの有名な蒸気機関車の先頭に座って客席に突っ込んでくるシーンを見られてよかった。

平面の構図を逆手に取ったギャグは言葉
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超高速!参勤交代(2014年製作の映画)

2.5

教科書のような脚本。
「参勤交代」というイベントを娯楽として仕立て上げていく仕掛けも見事である。

言葉遣いにこだわり、東北・茨城の方言で移動距離を表現していたのも、よかった。

それ以外は、ご都合主
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T2 トレインスポッティング(2017年製作の映画)

4.0

老いたレントンたちと対比するかのように、冴え渡るダニーボイル編集と音楽。

見た目は変わっても本質の部分はなんら変化していなかった悪童たち。
lust for life
「生きるための欲望はなんだ?」
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パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

3.5

個別に見れば崩壊しているが、全体を見れば調和している。

そんな離れ業をやってのけた名画。

映画の脚本において意味のないセリフ(会話)はご法度とされるが、そんなの関係なし。
特に意味のないセリフの応
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プリティ・ウーマン(1990年製作の映画)

4.0

名画の影に名音楽あり。

音楽のタイミング、編集ともに完璧。

ちょうど「プリティウーマン」が終わるタイミングで次のカットに変わる。

彼女が垢抜けていく様が、周りの表情で語られるのが、極々映画っぽく
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マトリックス レボリューションズ(2003年製作の映画)

3.0

ザイオンでの戦闘シーンが中心のため、全体的にもっさりしている。

香港映画を観にきたつもりが、パシフィックリムを見させられたような感がある。

ザイオンのシーンを大幅カットして、
アニマトリックスで描
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花と兵隊(2009年製作の映画)

-

太平洋戦争末期、日本に帰らずに現地に残った未帰還兵を追ったドキュメンタリー。

てっきり、戦後全ての兵士が帰還したものだと思っていたが、中にはインドシナ戦争の戦争指導をしたり、台湾独立戦争を戦ったり、
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地獄の黙示録 ファイナル・カット(2019年製作の映画)

4.0

ドルビーシネマの立体音響にて。

ナパーム弾での爆撃、ローリングストーンズ、ドアーズの爆音が頭上に降り注ぐ。

狂ったと言われる上司を殺しに行くが、途中で本当に狂ってるのは、前線の指揮官や司令官だとい
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プロメア(2019年製作の映画)

3.5

細えことすっ飛ばして、ノリノリで気持ちいいことをする!
個人的にはネタも構成もキルラキルの方が好き。

図形を用いた様々な映像表現、カメラワーク、光の使い方は垂涎もの。

例えば、プロメアの影響下にあ
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新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に(1997年製作の映画)

4.5

虚構に逃げる全てのオタクどもに捧ぐ。

萌え・カタルシス・正義のヒーロー、現実から逃げるための手段として存在する時もあるアニメ・映画。

現実にはあんな都合のいい女の子はいないし、どうあがいたって、空
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独立愚連隊(1959年製作の映画)

4.0

朗らかなる戦争映画!

サスペンス的要素が物語を牽引し、西部劇的な戦争活劇が全体を彩る。

形式化されたハリウッド映画の脚本のように作らなくても、娯楽映画は作れる!

愚連隊の豪快な戦いぶりに劇場で爆
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ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)

4.5

映画史上最も至高な冒頭15分に乾杯。

映像・音・表情・声全てが合わさり至高の空間になっている。

若干脚本に無理をしているところがあるものの、それを押し切るだけの、映像力とBGMがある。

編集の切
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エスター(2009年製作の映画)

4.0

エスターの顔には、取り繕った情報しかない。
目的のために手段を選ばない能面のような顔が頭にこびりつく。

公園、学校、家、あらゆる日常をホラーテイストで描いており、恐怖倍増。

サイコパス人間をただ描
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桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)

4.5

青春多視点群像劇。

様々なスクールカーストを見てきたが、出色の出来栄え。

1人の中心人物を巡り、周囲の葛藤を丁寧に映す。

軽薄なお調子者、運動部をやめたイケメン、文化部の肩身の狭さ、大衆迎合的な
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アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)

4.5

サイコ映画と言われるが、本質は痛烈な社会風刺映画だった。

80年代特有の無意味なブランド思考に囚われる男たち。

車、女、住む場所、果ては名刺の素材に至るまで。
無意味なマウント合戦が繰り広げられる
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僕たちは希望という名の列車に乗った(2018年製作の映画)

3.0

目で語る映画。

キリッと問い詰める場面では、前一点を見つめ、生徒たちがウソをつく場面では目が左右によく動く。

東ドイツの大人たちは、ナチズムを憎み、自身の思想を押しつける教育を施すが、やっているこ
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武士道残酷物語(1963年製作の映画)

4.0

時代劇の美しい部分をぶっ壊していくベルリン映画祭金賞受賞作品。

江戸、明治、戦争、現代劇。これら全ての描写をひとつの映画で観られるなんてそうそうない。日本映画の総決算。

6つの時代の主人公を萬屋錦
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