克明に再現された戦後の浅草の街並み、柳楽優弥の醸す雰囲気、カメラマンの高木風太さんのカット割りはとても良かった。
ただ、回想シーンを始めとした編集が絶望的に下手(説明的)で、興醒めしてしまった。
結末を見せてから、過去回想に入る手法が3度出てくるが、明暗の落差で感動させようとしているのが滲み出ていて、冷めてしまう。
良い話に寄せよう寄せようとするあまり、ツルッとし過ぎていて、24時間TVを見てるような居心地の悪さがあった。
ストリップ劇場を描いているのに、裸が一切出てこず、徹頭徹尾「綺麗に」描かれている。
例のセリフ(笑わせろ)についても当時の古典落語家や芸人は同じことを言うのだろうか?
立川談志「「評価ってのは相手が決めるもんだからね。いくら俺がうまい落語やっても“おしゃべり“っていわれたらそれまでだもん」
「美談なんて嘘くさい。ほんとの美談は恥ずかしがって出てこない」
古今亭志ん生「落語を面白くするには、面白くしようとしないことだ」
この作品に哲学はあるのか?「人間」が見える作品が個人的には好きです。