映画ネズミ

スター・ウォーズ/最後のジェダイの映画ネズミのネタバレレビュー・内容・結末

4.9

このレビューはネタバレを含みます

 皆さま、あけましておめでとうございます。2018年もよろしくお願い致します。今年はルークのように突然音信不通となったりせず、コンスタントにレビュー挙げようと思います!

(ネズミの感想)
①志は買うぜ!カイロ・レンが良かった!
②でも、アラが多いのは否めないぜ!
③そもそも、先読みできるかこんなもん!

この映画はこういう人に向いています:分かりません。
この映画はこういう人には不向きです:分かりません。

 普段からよく映画を見ているわたくし映画ネズミですが、『スター・ウォーズ』を見る時は、すごく緊張するんです。「これからスゴイものを見るんだ!」とワクワクしながら、チケットを買って座席につくんです。

 そして、「遠い昔、はるかかなたの銀河系で・・・」というテロップが出て、「ジャーン!」というテーマ曲が始まった瞬間に、背中に電気を流されたような興奮と共に、悩み事もポップコーンを買ったこともすっかり忘れ、スター・ウォーズの世界にのめり込みます。

 そんな私が、『最後のジェダイ』をどう見たかと言いますと。

 狙いは分かるし、その狙いは嫌いじゃない!
 でも、確かに、アラが目立ちすぎ!!

 です。

 まず、こんな大規模で公開される映画で2時間30分超えという上映時間。今どきはクリストファー・ノーランくらいじゃないでしょうか!? そんな長い上映時間をうまく使えていたかというと、そうでもないです。

 正直、製作費いくらなんだろうと考えたら目が回りそうなくらい見せ場が詰め込まれているんですが……ざっくり言うと、「要らない描写が多くて、必要な描写がない」という感じでした。

 例えば、レイとルークの話。2人を演じた俳優の演技は、表情と所作を含めて本当に素晴らしいんですけど、結局、(ルークがウジウジしているせいで、)ほとんど何の関係も構築できないままクライマックスを迎えてしまいます。レイがルークのウジウジを解消するわけでも、レイの真剣な姿を見てルークが自分で乗り越えるわけでもないです。出会った時とさほど変わらぬ距離感のまま、勝手にクライマックスがやってくる。これは明らかに面白くない!!

 例えば、レジスタンスの艦隊がファースト・オーダーの大艦隊から逃げるメインの話。序盤、『フォースの覚醒』でニュータイプもかくやの操縦テクを発揮したポー・ダメロンがまたもひとりで大活躍!というのは嬉しいんですけど、 結局この活躍が意味なかったり、

 フィンの登場の仕方がカッコ悪すぎて吐くレベルだったり、

 フィンが担うあるミッションの、あまりにも偶然頼みでその場しのぎの感じだったり(それも結局無意味どころか事態を悪化させてしまったり)、

 そもそもレジスタンスの逃走作戦、ザツすぎて引くわ!だったり(そりゃ格好の標的になるだろ!)、

 レイはどうやってファルコン号に戻ったのかな??とか、

 ほかにも、新キャラ(ホルド提督、ローズ、DJ、小っちゃいフクロウみたいなやつ)が、そんなに魅力あるキャラじゃないとか、

 フォースでそんなこともできちゃうの!?という、今後ドラゴンボール化を疑いたくなる力のインフレぶりとか、

 惑星クレストが、赤い土と塩でできた惑星ってことですけど、割と近い光景を『クリムゾン・ピーク』で見た気がする……とか、

 『フォースの覚醒』では抑え気味で使っていた旧三部作のメロディーが、今回は全面的にフィーチャーされていてありがたみがないとか、

 色々とアラはあるんですよ。私も「あ~あ……」と思っちゃったところもありますが。

 あ・り・ま・す・が!!

 今回は何よりも、「シリーズの独り立ち」の映画でした。不格好でも何とか独り立ちしようというこの映画の意気込みを感じましたよ!

 例えば、あのジェダイ寺院の書物をめぐって、「こんな聖典にしがみつくな!」とヨーダに言われたり(お前もエラそうなこと言う割に対して役に立たなかったけどなというのは置いといて……)

 例えば、『フォースの覚醒』でほったらかしにされていた「レイの両親問題」が、「いや、あの人たちは何でもないっす。気にしなくていいレベルの人っす」というギョエェェェッ!な結論だったり、

 そして、カイロ・レンが悩んでいたのは実はスノークがネチネチいじめていたせいだと明らかになって、スノークの脇腹に風穴を開けたり(言っちゃった)

 お話的には、「おれは『ルーク三部作』から独立してやる!」という意気込みがありました。

 その姿勢には、すごい好感を持ちます。『フォースの覚醒』も『ローグ・ワン』も見ていて幸せな映画だったし、今でもまた映画館で見たいくらいですけど、昔のファンへの「おもてなし」が『ローグ・ワン』で行くところまで行った感じだったので、そろそろルーク三部作の呪縛から脱して、レイ三部作ならではの魅力をもっと見たいな、と思っていたところだったんです。

 つまり、「型破りな映画」を見たかった、というか。

 そういう意味では今回、カイロ・レンがすっごい良かった!『フォースの覚醒』では八つ当たりしまくる役立たずのヘタレに見えたのに、段違いというか、アダム・ドライバーの表情や目つきが、前作とは比べ物にならないくらいイイです。ライアン・ジョンソン監督も入れ込んでいるらしく、登場シーンから演出や撮り方のテンションが違います。とにかく過去を振り払いたくて仕方がないという今までにないキャラに、十分な説得力を与えていましたね。

 あ、あと、絶妙な小物だな……と思って気に入っていたら、本当にスノークに「小物」と言われちゃったハックス将軍の出番が増えていたのは個人的に◎。BB-8がクリント・イーストウッドに見えたのも◎でした。

 ほかにも、ポー・ダメロンの境遇は面白かったです。天才パイロットゆえに、とにかく戦って状況を切り開く彼が、戦うだけが戦争じゃない、仲間をしっかり守るのがリーダーだ!というのを学んでいく過程は面白かったし、彼のナイスガイぶりは健在だったのでよかったです。そういえばレイとは自己紹介もまだだったのねw

 そして、カイロ・レンとレイがスノークの手下と戦う場面。プリクエル(エピソードⅠ~Ⅲ)が古武術の演武だとすれば、今回はストリートのケンカのような、むきだしのバイオレンスな戦いぶりがすごく新鮮でした。

 もちろん、『スター・ウォーズ』の新作というだけで10億点くらい出ているんです。色々とアラはありますが、その志を見ると捨てがたい映画ですし、何よりレイとカイロ・レンのエピソードをもっと見たい!

 でも、このシリーズを「見れてよかった……」と思えるかどうかは、すべてエピソード9次第ということになっちゃった……。そういう意味では、複雑です。ファンってメンドクサイですね。

 それでは!


『フォースの覚醒』
 「おもてなし」と「新しいこと」を絶妙なバランスで入れ込んでいた、実は職人作じゃないでしょうか。

『ローグ・ワン』
 「新しいこと」はいい! 今回は「おもてなし」します!と割り切ったエピソード3.9。演技派が揃っているんですよね。
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