現実の切り取りかたと、組み立てかたの面白さ。
会話というより対話(ダイアログ)の緊迫感。
さすが、ダニー=ボイル監督とアーロン=ソーキン脚本だ。
人格的にはかなりエキセントリックで問題のあるスティーブ=ジョブズ像は、「ドキュメンタリー」や「伝記映画」としては作られてきたが、この映画の監督たちは、それをなぞらなかった。
そこが凄い。
三つのプレゼンを、その本編でなく、直前のドラマに焦点を当てて描いた。
感情移入しにくい、アスペルガーな主人公のジョブズに感情移入させてしまう力技にもやられた。
アシュトン=カッチャーに先行され、そっくりさん演技をされたのに、ここまでジョブズを見た目でなく「人格」として演じきったマイケル=ファスビンダーも、ジョブズに堂々と反論できた広報担当ジョアンナ=ホフマンを演じたケイト=ウィンスレットも巧い。