Otun

追憶の森のOtunのレビュー・感想・評価

追憶の森(2015年製作の映画)
4.4
仕事で忙殺され泣く泣くスルーした春先映画を取り戻し週間という事で、
目黒シネマにて『レヴェナント』と『追憶の森』。
歯噛みして断念した二本だったので、浮かれ気味に行って来ました。


『追憶の森』
大好きガスヴァンサント作。
相変わらず、極力説明を省いた登場人物の人生の断片を、ほぼ会話だけで見せつつ物語が進む。
説明が少ない分、想像力を喚起されながら見進められるのがやはりおもしろい。

にしても、
今作の一番の見所は、主要3キャスト(マコノヒー、ケンワタナベ、ワッツ)による、繊細な心情を表現した演技だと思う。
かなり説明が省略されてるのに、作品の説得力が半端じゃない。

特筆は、中盤のたき火を囲んだマコノヒーとケンワタナベの会話。
マコノヒーが妻に感謝されないよう紅茶のパックを補充し、嫁は嫁で洗濯したシャツを奥の方にしまうという件。
もう、ホロホロ泣きました。
互いに相手を思い合っているのに、感謝されたくない。こんなややこしい関係。切なすぎる。
そして、その事を、タクミに。涙。


ラストの種明かしは、日本人的には分かりやす過ぎかもだけど、外国人にはちょうどいいのかな。でも、カンヌでブーイングらしいですね?
いや、傑作でしょ。

ブーイングした奴等。
行間を読む、とか
わび、さび、とか
教えてやりたい。俺も知らんが。
Otun

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