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バーフバリ 王の凱旋のOtunのレビュー・感想・評価

バーフバリ 王の凱旋(2017年製作の映画)
4.4
「バーフバリ2は、おそらく制作費2兆円は行ってますよ」、私のレビューでよく出てくる後輩のNやんは言いました。

制作費と言うと思い出すのは、その昔、われらが別所哲也出演の日本&ハリウッドの合作映画で「クライシス2050」と言うSF映画があった。
当時まだ少年だった私は、その映画の内容より、テレビCMなどで何度も言われ続けていた「総制作費70億円!」と言う謳い文句ばかりが脳裏に焼き付いた。私は、子供ながらに70億円という途方もない予算の映画に心を弾ませた。
しかし、映画が劇場公開すると評判は最悪。結果、世紀の赤字映画となった。

また。私が小学生の頃、ウラくんと言う転校生がクラスに転入してきた。
私やクラスメイト達が冬でも半ズボンで過ごすストリートチルドレンの様なガキだったのに対し、関東から越してきたウラくんはいつもパリッとしたシャツを着て長ズボンを履いていた。
「家に遊びにおいでよ。ファミコンのカセット100本くらいあるから」。
転校してきて数日か経つと、ウラくんは標準語で私たちにこう言った。
ファミコンのカセット100本!?私は、子供ながらにその途方もないファミコンカセットの数に心を弾ませた。

が、しかし、いつまで経ってもウラくんは我々を家に招いてはくれなかった。そして、その夢のようなファミコン大会は実現しないまま、暫くするとウラくんは学校に来なくなった。
数日ウラくんが学校に来ない日が続き、ある日の朝の会で、ウラくんはお父さんの仕事の都合で引っ越したのだと担任から聞かされた。
ウラくんは岬太郎の様に一瞬でどこか遠くへ引っ越して行った。

私は悲しかった。
ひどい話だがウラくんが引っ越した事より、彼の家で催されるはずだった100本のファミコン大会が、夢のファミコン大会が実現しなかったことが悲しかった。
勝手な言い分だが、ウラくんは自分で拡げた風呂敷をちゃんと自分自身で畳んで欲しかった。こんな後味の悪い余韻なんていらない、と思った。

クライシス2050とウラくんに共通点があると思う。必要以上に受け手の期待値を上げて共にそれを回収出来なかった。

「バーフバリ2は、おそらく制作費2兆円は行ってますよ」、後輩のNやんは言いました。

自宅鑑賞ではあるが、わが家の5,1チャンネルのホームシアターを近隣の苦情ギリギリの爆音に設定して観た。
おもしろかった。
私はバーフバリの様な男になりたいと思った。
齢43歳のおじさんは今後はバーフバリの様な男を目指して生きようと思った。
Facebookの友達候補にも名前の出てこないウラくんは、今、元気にしているだろうか。
バーフバリ2を観ただろうか。

受け手の期待値を上げに上げた上で、そこを難なくクリアする映画や人が私は好きだ。
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