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ルカじいさんと苗木のkyokoのレビュー・感想・評価

ルカじいさんと苗木(1973年製作の映画)
4.5
枯れてしまった梨の木の苗木を求めて街に出たルカじいさんと孫。
てっきり昔の話かと思いきや近代化した街並で、出で立ちが完全に浦島太郎チック。でも行き交う車を堂々とせき止めて老婦人をエスコートするじいさんには一切萎縮なし。

バスでの国境を越えた一体感なんて最高だった(ウオツカを角の入れ物に入れられた挙げ句飲まなきゃ置けないぞってのは「いや部長勘弁してくださいよ」な世界だけど)。

出会った人々は、じいさんの大音声に巻き込まれているかにも見えるけれど、みんなもともと暖かい人たち。ていうか息をするように人を助けるって感じかな。
たとえ身内に不幸があっても困っている旅人はそのままにしておけない人も、苗木を分けてくれたおじさん(言うほどぜんぜん頑固じゃない)も、ぬかるみにはまったトラックを助けた男も(お礼しないヤツは論外)。
通せんぼしてまでもてなそうとするおじさんがかわいい。

じいさんと孫が多声での掛け合い?する歌声が素晴らしかった!
グルジアの伝統歌はじいさんから孫へ、孫からその子どもへと伝えられていく。
未来への願いと希望に満ちた花道が美しすぎて泣きそうになった。

「約束をしたなら守れ。約束をしていなくても筋を通せ。」

男尊女卑の慣習が長らく続いていた国なので、男の主役感は否めないけれど、地球を愛し地球に愛された男・ルカじいさんからの教訓は、横断幕に書いて令和の日本にかかげたい。
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