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Wの悲劇のkissenger800のレビュー・感想・評価

Wの悲劇(1984年製作の映画)
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この辺が盛り上がっていた当時、映画にまったく関心ない洋楽少年かつエンターテイメント小説として大江健三郎をおもしろがっていた高校生だったので(ノーベル文学賞受賞はそこからさらに十年後だから俺のほうが早いとかつい言っちゃうコジラセ少年がそのまま老けました慙愧の念に堪えない)カドカワ・歌謡曲・夏樹静子。って本作界隈とは縁が薄いな、とあらためて実感。アマゾン100円ラインナップにあったのでうかうか流してたんですけど。

それでも当時、薬師丸ひろ子の存在感だけは認知していて、40年近く経ってもほとんど立ち位置が変わらなかったのは凄い、って感想になりました。
ええと、セクシュアリティを売らないのは吉永小百合もそうだけど、薬師丸ひろ子は母性もfor saleって大々的に掲げないじゃないですか。
もちろんいまどき役柄上は誰かのお母さん役なんだろうけど、それって日本の制作者の大半が彼女の本質を活かせる脚本を書けないだけで、現にクドカンは母や妻って社会が期待する属性と関係ない役を彼女に持ってこれるわけでしょ?

本作でもほかの演者は「劇団の看板女優」だの「演劇の夢をあきらめた青年」だの、与えられた役割におさまっているんですけど、薬師丸ひろ子はずっと薬師丸ひろ子で、アイドルから女優への脱皮云々って言っても要は薬師丸ひろ子本人の話じゃないですか。
なるほど彼女だけを見てりゃいいんだな、って割と映画はじまってすぐに分かるので、強いて洋画ファン向けに言い換えるなら……『トゥルーマン・ショウ』(1998)の素材Vを見てる感じ?
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