そのじつ

Wの悲劇のそのじつのレビュー・感想・評価

Wの悲劇(1984年製作の映画)
4.8
「顔ぶたいないで。女優なんだから」は日本映画史上屈指の名ゼリフ。
映像特典でこのシーンを収録する風景があったが、最初は「お願い、舞台があるの。顔殴らないで」というセリフで、監督とひろ子が詰めていって最終的にこのセリフになっていた。
結果、もっとも映画を象徴するセリフになっているように思う。映画っておもしろい。

女性陣が野心満々であるのに対し、ヒロインに好意を抱く青年・明夫は実直で純粋な心の持ち主に描かれているところから見ても、「女」を描くための映画だな…と楽しく観た。

薬師丸ひろ子はカリスマめいた美貌も神懸かり的な演技も持っていないが、ふつうの女の子を等身大に演じて破綻がなく、愛らしい。制作者側も彼女を大事に扱っているし、彼女も正直な仕事ぶりを発揮していて、見ていて気持ちがいい。
ひろ子にあて書きされたであろう脚本もシックリきていてよかった。他の出演者もハマり過ぎにハマっていた。

劇中劇とドラマの現実とのシンクロなど凝った仕掛けも面白いし、女性を醜すぎも夢見がちにも描かない所もよかった。
映画的な印象的カットも多く、映画らしい映画を観た〜という満足感が得られた。
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