次郎

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破の次郎のレビュー・感想・評価

3.5
公開当時は「熱血シンジ君が活躍する明るいエヴァ」などとか言われててマジかよ…と衝撃を受けていた新劇第二作。個人的な記憶ではこの辺りからエヴァの本格的な再ブームが始まり出した覚えがあり、個人的にも学生から勤め人にジョブチェンジした時期でもあって、エヴァを見ることは10代の頃の鬱屈してネガティヴな自分と向き合わさせられることな気がしてどうしても見る気になれなかったのを覚えている。

そんな個人的な思い出は脇に置いておいて、TV版の7話から23話を大幅に再解釈した本作は、確かにアニメ作品として極めてクオリティの高い作品だ。特に、TV版では躁から鬱へとゆっくりと壊れていったアスカが本作では大幅に救済されており、名前が変更されているのも納得の内容。余談だけどどこういった面倒くさいことを書いてる人ってだいたいレイよりもアスカ推し、更に言えば式波よりも惣流のアスカが好きな人が多い気がする。まぁ、個人的な偏見ですが。

とはいえ、真っ直ぐな方向に振り切ったが故の気持ち悪さがあるのも事実。新キャラであるマリのいかにもオタクが好きそうな造形や胸を強調する性的なサービスシーン、ぽかぽかしちゃう日常パートといった具合に「みんなが見たいのはこれでしょう?こういうのが好きなんでしょう?」と言わんばかりのストレートさにはやはり今更ながら驚かさせられてしまう。まぁ、こういった懸念は次作のQで全部ひっくり返るのだけど…。

あと、各種SNSで山のように書かれている考察や伏線について一々書くのは野暮だけど、一つグッときたのが新劇三作を通して登場するカセットテープ(実はカセットでなくDATらしいけど)。序ではTV版と同じく25-26(TV版のラスト2話!)をリピートしていたシンジ君が、破ではマリと出会った時に27に切り替わり、そして次作では28へと進んでいく。こういった演出は大好き。
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