emily

あるメイドの密かな欲望のemilyのレビュー・感想・評価

あるメイドの密かな欲望(2015年製作の映画)
3.4
 メイドのセレスティーヌはフランスの地方にある夫妻の元で働くようになるが、過酷な労働を強いてくる妻と、何かと手を出してくる夫に嫌気がさしていた。彼女のほかに二人のメイドがおり、庭の手入れを任されてるジョゼフは密かに計画を立てており、それを知り彼に惹かれていく・・

 メイドと言ってもセレスティーヌは気品漂う美しい女性で、自然に醸し出される色気に周りを翻弄させていく。光と陰が生み出す立体的なお屋敷、常に漂う不穏な音楽がアンニュイなセレスティーヌを魅惑的にムードに包み、鏡に映るその表情の隙に彼女の本心が見え隠れする。常にプライド高く、主人にも従順な態度を見せず、反抗的な態度が主人を余計に怒らしていく。常に目線の中にセレスティーヌを置いているジョゼフ。二人の視線を交互に見せる事で、まるで彼女が糸をひっぱっているように見えながら、男の方がそのタイミングをただ待っているのがわかる。

 ゆらりゆらりと交わしながら、支配されるのを断固として拒否し、プライドをしっかり持ったメイドでありながら、ジョゼフの魅惑の秘密を知った途端、180度態度を変えていく。支配されることに歓びを感じる皮肉。しかし心が誰かの物になってしまった彼女にはアンニュイな色気は消え、そこには生活感が漂い始める。気品漂う衣装を纏ったセレスティーヌ演じるレア・セドゥの確信的な色気と、ジョゼフ演じるヴァンサン・ラドゥの男気が交差い、豪華な衣装と陰影の美しさに魅せられる。
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