dm10forever

シンクロナイズドモンスターのdm10foreverのレビュー・感想・評価

3.5
【飲んで~飲んで~飲まれて~飲んで~♪】

「設定は面白いんだけど、一体どうやってオチをつけるのかね~?」と漠然とした疑問。
実はこの映画はギリギリまで観るのを迷った一本でした。
アン・ハサウェイは大好きです。
「黒髪」「目鼻立ちクッキリ」「笑顔がチャーミング」と個人的なストライクゾーンを全て網羅している女優サンなので・・・。

なので今回は『ジャスティスリーグ:カル・ガドット』と『シンクロナイズド・モンスター:アン・ハサウェイ』を観る日にしようと。いわゆる「目の保養Day」といたしました。

ということで、出だしの疑問。
いつものことながら原作も読まずにいきなり映画から入るたちなんで、作品の方向性も、カラーも、テンションもわからず観ましたが、意外と・・・というかすんなり入って来ます。
まぁビックリするほどのことでもありませんが、設定自体が難しいお話ではないので、登場人物の名前さえ覚えていけばサクサク観れてしまう作品です。
ただ、トータルで見たら実は結構「隠し味」が効いたハードな映画なのかも・・・という気もします。

この作品のCMの段階では、アン・ハサウェイ演じるグロリアは、いわゆる「ダメウーマン」とブルゾンち○みよろしく言われておりますが、ほんとにダメウーマン・・・なのかな~と、鑑賞中もちょっぴり疑問も感じつつ・・・。

確かに、仕事をリストラされて以降は日々飲んだくれの毎日で、中々仕事を探そうともしない。
業を煮やした彼氏には家を追い出される。
仕方なく田舎へ戻って、偶然再会した旧友オスカーが経営するバーでウェイトレスとしてアルバイトを始める・・・。

う~ん・・ダメウーマン・・・か?

何か、人生の歯車が上手く噛み合わない状態を指して「ダメウーマン」と言ってしまうならそうなのかもしれないけど、彼女が根本からダメウーマンだったのか?というと「実はそうじゃないんだよ」っていうエピソードも盛り込まれていて、でもそうなると「じゃあ、あの物語の方向性はどうすればいい?あのモンスターの必然性は?」ってなる。

まぁCMのでも触れられてるから、大体は周知されていると思うけど『グロリア=モンスター』なんですよね。じゃあなんでモンスターなの?っていうところ。
ここら辺は原作なり脚本なりの描き方でもあるかとは思うんですが、あれは彼女の「眠っていたトラウマ」なんですよね、きっと。

25年前のある出来事をきっかけにして、心が壊れた瞬間に生まれたもう一人の自分。何故韓国(ソウル)?とかはどうでもいい。
韓国が嫌い云々ではなくソウルじゃなかったら別の場所だった、ただそれだけのことだから。
そして、彼女が偶然なのか必然なのか、「あの地」に戻ったことで眠っていた「昔」が動き出す・・・というお話。

きっとアン・ハサウェイの演じ方というか、彼女の天性の雰囲気というか、あ~いうタイプの子をやらせると上手い。
そして、テンポがいい意味で軽くなる。
だから、この物語の根底にある「過去のトラウマ」という、描き方によってはどこまでもダークなテイストにも持っていけそうなビターなテーマすらも、ポップコーンのように軽く映ってしまう。
勿論、いい意味でだよ。

このトラウマというものの捉え方というか、表現の仕方は好きです。
自分にとっても「遠い昔の傷」として心の奥にしまってある「闇」の部分。
だからこそ自分自身もその存在や原因に気が付かないうちに自己防衛を始めているっていうのは、多重人格者における過去のトラウマに対する本能的な対処としてもよく描かれることがありますが、今作もまさにそれだったのかな?と。

表現方法を変えてホラー調にしたのが「スプリット」だった。
あれはストーリーも面白かったけど、自己防衛の表現が「多重人格」という形で表されていて、それを演じるジェームス・マカヴォイの演技も中々良かった。
今作ではその辺をモンスターで表現しているんですね。
最初は自分でも何がなんだかわからくて、なんなら「酔っ払った時に見た夢」くらいにしか思ってなかったけど、だんだんとそれが「自分」であると認識し始めたとき、ちょっとづつ色んなものが見え始めてくるんですね。

何故ソウルに現れるのか?
何故毎回8時5分なのか?
何故前回の出現が25年前だったのか?
そして彼女が頭を掻く癖のわけは?

個人的にはオスカーのクソ野郎っぷりには100点あげたいくらい(笑)。全てはあいつから始まっていたんだね。
そしてそれを彼女はずっと心の奥に締まっていた。
自分自身それがトラウマになっていることすらも気が付かないくらい心の奥に。

別に「自分探し」とか「人生の洗濯」みたいな小洒落た話ではないかもしれない。
することがなくてどうしようもなくなって地元に戻ったときに、止まっていた歯車が偶然動き出してしまっただけという「行き当たりばったりなお話し」なのかもしれない。
ただ、適当な塩梅で散りばめられている「可愛いアンハサウェイ」がストーリーを明るく彩ってくれるので、割と重くなりがちなテーマなのに最後までポップな感じで観ていた。

だからなのか、実はちょっぴり不思議な感覚が残った。
でも嫌いじゃない。
点数ほど悪くもない。
ただアンハサウェイじゃなかったらもうちょっと低い点数だったかも・・・。
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