HicK

ラ・ラ・ランドのHicKのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.3
《映画への愛と正義。カラフル&クラシカルな作品》

【鉄板の冒頭】
冒頭の長回しワンカットはやっぱり圧巻。病院の待合室のような味のするセブンイレブンのハイボールを飲みながらの鑑賞だったからか(トップバリュの方がマシだった)、「Another Day of Sun」の歌詞の内容に泣いてしまうという薬物反応が起こった。セブン怖い。同曲の前向きさが眩しい。

【プラネタリウム】
マジでいいシーン。冒頭と同率一位。ワイヤーで飛び、宇宙でワルツ。画面いっぱいに表現される「私、恋に落ちました」的描写。好きだったディズニーランドのミッキーマウスレビューのシンデレラシーンを思い出す。ロマンチックの極み。

【浮気するミア】
恋に堕ちたら浮気だろうがなんだろうがその人しか見えない。というミアに対しては同情していいものか分からないけど(みんなどう思ってんのか知りたい)、自分は肯定してしまう 笑。特に最後のシーンで、隣に夫がいるのに「あの時、離れなければ」と妄想していまうシーンは、一貫してて逆に好きだった。

【ミアの妄想浮気】
その"妄想シーン"があまりにも独創的で舞台的で芸術的だったので、最後に今作の評価が爆上がり。これまでのおさらいから「もしあの時」のオルタナティブまで、ミアの想像力・妄想力を表現したかのようなアートで好きだった。多分、自分も同じような妄想を普段してると思う。親近感高し。そして、ハイボールのせいか、また涙。わら。

【夢・愛】
「夢か、愛か」そう強く迫られていた訳ではないけど、最後の結末はちょっとリアルでいい。今となっては邦画の「花束みたいな恋をした」はここからインスパイアされたんじゃないかと思うぐらいに、主人公たちの関係性が重なった。

【演出】
この作品を形作ってる「クラシック作品へのリスペクト」のお陰で、なんか通常より"映画体験"の密度が増してる気がする。「映画みたぁー」という充実感。セリフの無いシーンも多く、美しい画作りに見入ってしまう。また、舞台を見ているようなスポットライト演出も印象的。様々な古典的要素が"高級感"を醸し出す。

【カラフルな色彩】
まず、夕焼けのマジックアワーが美しい。美術セットはまさに舞台演劇のような芸術性。そして衣装は(例えが悪いが)、ファストファッション店で「どの色にしようかな?」と迷っている時の品揃え。ぐらいカラフル。とにかくエキストラがカラフル。ロケ撮影でありながら、現実離れした夢の中にいるような感覚。

【総括】
楽曲の素晴らしさはもちろん、はやり今作の評価されている大部分はデミアン・チャゼル監督による演出面だと感じた。カラフルでクラシカル。古き良き映画作品へのオマージュや、今っぽくない余白の取り方は監督なりの映画に対しての愛、そして正義にも感じた。この先ずっと、現代ミュージカルとして語り継がれていくんだろうなぁ。


マジでセブンの病院の待合室のようなハイボール試してほしい。これ、キマる。
HicK

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