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ラ・ラ・ランドのcyphのネタバレレビュー・内容・結末

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

オープニングとラストがそれぞれ全く別に超よくてもうそれだけでとてもよい映画 この映画はラスト以外全然物語じゃなくてただ若い男女が何か選択したり試されたりしながらロサンゼルスの季節が巡っていくというだけのことなんだけど 夢・虚構・物語らしさのオマージュとして使われるミュージカルシーンは長回しばんばんカラフル元気でとても楽しいし 馬鹿みたいに派手な演出とひたすら地味なストーリーラインとで場をつないでつないであのラストまで持っていかれたらもうおしまい あんな最高のキスシーンありますか??思い返してはうっとりしてしまう

終始メタっぽかったけどラストが本当ど直球にメタメタでこの懐かしい既視感なんだろうと思ったけどおたく向けのアニメとかでなじみ深いやつだと後から気づいた おたく向けとか大衆向けとか言ってる場合じゃない時代の到来ってかんじでとてもいい 大衆にある程度のリテラシーと萌えへの準備が備わってる時代

菊地成孔の批評読んで言ってる意味めちゃくちゃわかるし狙ってやってるだけとも言い切れない抜け感は確かに否めないけどそのへん含めてもすきって言い切れるくらいにぐっとくる要素てんこもりでもはや萌えの問題という気がする マジックアワーのロサンゼルスでカラフルなドレスでデートしたいしロマンチックや運命をばかみたいに信じてはしゃぎたい そうやってよくも悪くも既存の価値観に乗っかって生きることから逃れられなくてかつそのことに自覚的なふたりの姿勢はみててつらいきもちにも不信なきもちにもならないではないけどそれが彼らの選択なら否定なんてできない 大人になるってずるを覚えることだと思うし話が早いのは悪いことじゃない

なによりこの映画でいちばんぐっとくるのは彼らの夢が叶うという感動的な未来すらあくまで地味なストーリーラインの延長線上にしか置かれないところ 夢見心地できらきらまぶしいのはいつでも「選びとれなかった未来」の方で、でもそれはこれまでの選択の結果を貶めたり裏切ったりするものではなくて、ただもしあるときある偶然によって「あり得た未来」と目配せできたらそれはなにより幸運なことということ 視線を交わし合うシーンのの伏線としての全てみたいな映画 2度みる元気はないけど観てとてもよかった

絶対にマジックアワーのロサンゼルスでデートしたい ハモサ・ビーチで夕焼けを見よう グランド・セントラル・マーケットでタコスを食べよう リトル・トーキョーのぼんぼりを眺めよう グリフィス天文台のプラネタリウムで踊ろう
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