二重生活の知のネタバレレビュー・内容・結末

石坂を尾行する珠を尾行しているようなカメラワーク。珠が尾行を｢面白かった｣と言ったように、私も尾行視点の映像を見ながらワクワクしていた。

生きる事にずっとモヤモヤしていた珠は、石坂を尾行することで生きがいを感じ、一方で卓也との生活を疎かにしてしまい破局。
珠と一緒にいる意味を見い出せず出ていく卓也が、珠の尾行をすることで改めて自身を満たしていく。
石坂は、他者から見て完璧に満たされている人間なのに、何か物足りず不倫。その秘密を知った妻が自殺未遂。
篠原教授は、母を安心させるに足りないもの(妻という存在)を秘密の存在で作り出し、一時的に満たされる。ただ、その秘密と罪悪感に耐えられず自死(理由は私の憶測だが)。

人間は満たされるために秘密を抱えている。しかし秘密を抱えることで人は満たされると同時に、もうひとつの生活が崩壊していく。
二重生活というのはこういう意味なのではないかと考察した。