emily

天使にショパンの歌声をのemilyのレビュー・感想・評価

天使にショパンの歌声を(2015年製作の映画)
3.5
白銀世界に囲まれた音楽に力を入れてる厳格な寄宿学校。しかし学校は閉鎖の危機にさらされており、校長は音楽の力を信じ存続のため策を練る。そんな頃姪のアリスが転入し、ピアノの才能はあるが問題児で新たな問題に直面する。

白銀の世界とシスター服の黒とのコントラスト。美しいピアノの音色と歌声。生の演奏をしっかり見せてくれ、その中に思春期ならではの葛藤が音の中に表現されている。改革と伝統の狭間で生徒達とシスター達がうまく溶け合い、音楽の前では皆従順で、溶け合って行くのが印象的だ。

感情をのせると自己満足になってしまう。感情と技術のバランスは思春期のそれとしっかり交差する。悲しみを乗り越え一つ大人になった時、演奏には自然に丸みが生まれ聞き手の心にすーっと届くようになる。

改革と伝統、変わらないものなんて何一つない。変化は怖いがそれは未来でもある。年齢を重ねるほど変化を受け入れるのは困難だ。しかし軸は変わらない。少女達も大人達も一つ扉を開き前に一歩踏み出す。堅苦しい固定観念は自分を閉じ込めてしまうだけだ。しかしそれは反抗するということではない。過去にとらわれず未来を受け入れることで自ずと人は心を楽に新しい明日へ羽ばたけるのだろう。
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