星ワタル

たかが世界の終わりの星ワタルのレビュー・感想・評価

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
3.5
グザヴィエ・ドラン版「家族はつらいよ」

家族だからこそ、簡単に言えない。
家族だからこそ、分かりたい。
家族だからこそ、感情的になる。

家の中や車の中という閉じられた場所の中で、主人公はそれぞれの家族と対話する。
アップを多用し、細かい表情から伝わるセリフ以上の感情をすくい取る。

少数精鋭で集まった今のフランス語圏を代表する役者たちの演技合戦は、見ているだけで満足感がある。

一家の中心にいる母親、ナタリー・バイがいい。「理解していないわ。でも愛してる あなたを」の一言がズシリときた。

今回は音楽や映像の「ドランらしさ」を極力抑えながら、でも要所要所で効かせてくる演出センスの見事さは相変わらず。

それにしても、前菜からデザートとまであんなにゆっくり食事するなんて。
あの状況なら、僕でもジリジリしてしまうかもしれない。
星ワタル

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