まいたけ

500ページの夢の束のまいたけのレビュー・感想・評価

500ページの夢の束(2017年製作の映画)
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かわいい女の子がすてきな旅をするロードムービーかと思いきや。
身体・知的障害とか自閉症とか、貧困とか人種差別とか、そういう物語は、どうしても正しい答えを見つけ出さねば、と思ってしまうフシがあります。そんなもん、自分の中に明確にあるわけじゃないってわかってるのに、です。こう考えるべき、こうあるべき、と勝手に思ってしまうのです。

だから主人公のことを気にかけない、助けてくれない人を見ると、オイオイ冷たいなー助けてあげろよ〜となるのですが、もし映画でなく現実に自分の前にいるこの人がどんな人かを知らなくて、主人公の後ろに並んでいたとしたら、オイオイ勘弁してよ〜ときっとなるんですよね…自分なら間違いなくなると思うんです。

時おり挿入される、主人公の書いたシナリオの再現シーンでは、論理と感情の間でゆれるスポックが主人公、明朗活発なカーク船長役が結婚して子どももいる自立しているお姉ちゃんというのも、主人公がどんな気持ちをスタートレックに投影していたか、と考えると胸が痛みます。そしてシナリオ自体の筋書きも。

トレッカーの端くれとして、スタートレックの表のテーマが宇宙探索なら、裏のテーマは人間とアウトサイダー、またそれらの文化の協調だと自分は思っています。争いは起こってしまうけれど、その先の協調に光を当てた名エピソードがたくさんあります。だからか、この映画も成長というよりは協調をかんじてしまいました。最後のシーンや、警察官のシーン。少なくとも自分映画史にはぜったいに残る名シーン。

余談ですが、スタートレック好きには大きく分けて2種類いて、宇宙大作戦(TOS)からのファンをトレッキー、新スタートレック(TNG)からのファンをトレッカーと言います(諸説あり)。
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