【感情移入の対象が人間⇒猿へと変わる3部作の妙】
・初期の猿の惑星シリーズは、観ていなくてもなんとなく皆さん内容はわかると思っています。猿が支配する惑星、そのままですね。その上で、それだけ知っていれば、この3部作シリーズは観て面白いSF映画だと思います。この「新世紀」は、新シリーズ3部作の3作目ですが、3部作をかけて「猿が支配する惑星」になるまでを描いたもの、、、ではありませんでした。笑 現在は、全てDVDで発売・レンタル可能なので一気見をお勧めしますが、この3作目は「猿が支配する惑星になる」部分を描くものとばかり思っていたのですが全然異なりました。猿側の主人公シーザーがいなくなるまでを描く映画だったのですね。てっきり、旧作シリーズにストレートにつながるものとばかり思いましたが、旧作シリーズに「つながりそうな」程度で終わりました。ただし、細かな伏線などは張ってあるかもしれません。この辺は旧作を改めて見直さないとわからないのではっきりとは言えませんが。。。
・とはいえ、作品としてすごいなぁと思う部分は、3部作をかけて我々観客の感情移入を「人間⇒猿」に移行させたところ。いつの間にか、シーザーに対してもろに共感し始めている自分がいるのです。シーザー、危ない！シーザー、大丈夫？！など。1部作目では、人間側の視点で観ていたのにいつの間にか猿側の視点で観てしまう。おそらく、プロデューサーや監督の狙いは「ここ」にあったのではないでしょうか。それを丁寧に3部作として創りきったあたりはさすがだなぁ、と思います。私のお薦めはやはり、3部作の通し観、です。もちろん、個別で観ても楽しめる作品ではあるのですが、3部作を通してみることで「いつから、なぜ、私は猿に共感してしまっているのか」という物語や演出の妙について考えさせられる面白みがあるからです。是非、このレビューから観た方は1部作から一気観してみてくださいませ。私は、さらに旧作を観て、どんな伏線やつながりがちりばめられているのか、改めて楽しみたいと思います。（何もなかったら、残念過ぎますが。笑）
