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アンビュランスの3104Arataのレビュー・感想・評価

アンビュランス(2022年製作の映画)
3.6
<23年07月>
【共感先(明確な主人公)を持たせないことで「観ている側の複雑な感情」を生み出してくれる新しいジャンルの映画】
・2022年公開のアメリカのアクションスリラー映画。
・元海兵隊の主人公ウィルは妻の手術のためにお金が必要だが保険会社から保険金が下りない困った状態。そこで養子縁組の兄弟でありカリスマ的な銀行強盗犯罪者の兄ダニーからお金を借りようとする。すると「もっと稼げるから」とフェデラル銀行への銀行強盗計画に半ば無理やり一枚かまされることになる。「寝ていても終わる」という兄の言葉とは裏腹に、想定外のことが発生し、お金を持ちながらも警察から追われる状態に。逃げる際に乗り込んだ救急車には、銀行強盗時に銃で撃たれた警官とそれを手当する救命救急士キャムの2名が。その2人を人質として、警官が逃げるウィルとダニーだが一体どうなるのか…という大枠ストーリー。
・監督は「マイケル・ベイ」さん。アルマゲドンやパールハーバー、ザ・ロックなど数々のメガヒット作を生み出した監督さんです。
・元ネタは2005年のデンマーク映画「25ミニッツ」で、そのリメイクのようです。

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[お薦めのポイント]
1.さすがマイケル・ベイさん。ハラハラアクションの数々が見ごたえ抜群
2.「この人!」という主人公を持たせない構成が物語の先を読ませない
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【1.さすがマイケル・ベイさん。ハラハラアクションの数々が見ごたえ抜群】
・タブレットにて視聴しましたが、これは映画館などの大画面で見たいアクション映画です。少なくともTV以上、あわよくばポッピンアラジンなどを利用して自宅スクリーンで見たいです。

・主にカーチェイスがのアクションがとてもカッコよいのですが、車視点だけではなく、全然関係ない視点からカメラのみがトンネルをくぐりながらその先に見える車を魅せたりするダイナミックな映像演出が「ゾクッ」とさせてくれます。暑い夏の日にクーラーの効いた室内でコーラを片手にハラハラ楽しみたくなります。
【2.「この人!」という主人公を持たせない構成が物語の先を読ませない】
・ウィルが主人公のようで、ダニーもそう見えるし、救命救急士のキャムもそう見える。誰が正義で誰が悪か、みたいな部分を強調せず様々なキャラクターの視点で魅せてくれるので端的に「いい者わる者」と観れない。それが、この先の物語がどう運ばれるのかが予想しづらくて(いい者わる者がわかっていれば大体予想はつくものの)、楽しめる要素の一つになっていました。
・また、それがキャラクターへの共感性も一方向にはさせないんです。例えば、警官側のリーダーやダニーの旧友であるFBI捜査官、は例えばウィルとダニーを主軸に据えた場合、彼らに対してはアンチな気持ちが芽生えるものですが、そうではないんです。彼らにも共感できる。結局、映画を観ていて誰を応援してよいかが明確にならない。それでいて、どのキャラクターも好きになれる。観ている私にとって、敵対する何かがいなさすぎて「一体、誰が何の悪から逃れようとしているのか」と混乱します笑

【9.総じて】
・この映画は一見「諸事情を持った強盗が警官から逃げるアクション映画」のように見えて、全然違います。警官の視点、FBIの視点、ウィルの視点、ダニーの視点、キャムの視点、撃たれた警官の視点、その同僚の視点、ダニーを助けるマフィアの視点、ウィルの奥さんの視点、、、みんなの視点を複雑に交差させることで、これまでにないハラハラや共感性を創り出してくれる「鑑賞者の感情を複雑怪奇にしてくれる新しいジャンルの映画」に思いました。そしてタイトルがびっくりするほど端的に「アンビュランス(救急車)」。いやもうなんか、複雑なのかシンプルなのか笑
・シンプルな流れなのにこんなにも複雑なものをさらっと創り上げられるマイケル・ベイさん、すごすぎ!というのが感想です。

・なんか、この「観ている側を複雑にさせる」感を他の方とも共感出来たら嬉しいです笑 ありがとうございました。
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