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大怪獣のあとしまつの3104Arataのレビュー・感想・評価

大怪獣のあとしまつ(2022年製作の映画)
3.5
<23年01月>
【SFにリアルを持ち込んだ斜めな発想と各所に散りばめられた小笑いに惹き込まれる作品でした】
・2022年公開の日本のコメディ×怪獣映画。

・突如現れ、日本を恐怖に陥れた巨大な怪獣が、これまた突如、不思議な光に当たり死亡する。歓喜で溢れる日本だが政府は「この横たわったミサイルも効かない死体。どう処理すれば・・・」という課題が。生き物の死骸ゆえ腐敗による腐敗臭、そして最悪の場合は膨張して爆発するかもしれない状況。この事態に対し、帯刀アラタを筆頭に政府直轄の特殊部隊員が解決を試みるが・・・という大枠ストーリー。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~[お勧めのポイント]
・SFにリアルを持ち込んだ斜めな発想の物語
・コメディとブラックユーモアが光る
・(前情報なしの場合)落ちに驚き!!!
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

[物語]
・大怪獣というありえないSFのテーマの中に、「これ実際に起きたら誰がどう処理するの?」という現実的なテーマが掛け合わされた物語の主軸。この発想がとても面白いですよね。そんなタイトルに惹かれて鑑賞しました。
・山田涼介さん、土屋太鳳さん、濱田岳さんのお三方の役柄は常に真剣そのもので、ドラマチックに描かれていきます。ただ、それだけだと若干ありきたりな物語の流れに飽きてしまいそうなものですが、それを囲む大御所俳優陣の小笑いが物語を最後まで魅せてくれました。

・最後まで見たくなるキー要素は「結局、大怪獣はどうしまつするの?」「特殊部隊員 アラタの空白の2年は一体?」でした。ほかにも主演3名の恋路の行方など、ひっぱってくれるところはありましたが、その辺はよくある話に思えて、個人的にはあまり引っかからずでした。そして、キー要素に対するオチ、賛否分かれそうですねぇ笑 私は好きでした。が、もう少し具体的に魅せてほしかったなぁというところ。
・ネタばれないために、あまり多くは書けないところがモヤモヤしますが💦 物語的には割とすんなりと引き込んでくれたような気がします。後味も悪くはなかったです。

[演出]・政府高官の密室での会話。これがまるで喜劇のようで、舞台でも見ているかのような動きで演技されています。これもおそらく演出かと思いますが全体的に「くすっ」とくる小粒な笑いがちりばめられています。「ゲラ」ではないのですが、真剣さを逆手にとって笑わせるブラックユーモアのような笑い。なかなか観
ていて飽きませんでした。
・前情報を何も知らなくとも、終盤戦は薄々と「もしかてこれって・・・」と気づく方も多いでしょう。それも踏まえたラストシーンの影。これは賛否ありそうですね笑 私は「もう少し具体的に明かしてほしい」派でした。が、実際にはそれをすると興ざめてしまうのかもしれませんね💦

[映像]
・あくまでも「怪獣のあとしまつ」であって、大怪獣と戦うわけではないので、映像の迫力は期待せずに鑑賞したのですが、死骸(怪獣)の見せ方が素敵。片付けるために死骸に近寄る人々、その目線で目の前のカメラに入りきらない大きな怪獣とリアルな皮膚感を観ると、よくある怪獣との戦いを引きの画で観るよりも一層迫力がありました。普通に怪獣と戦う映画なら、この近距離での映像ってなかなかないですよね。死骸だからこそ、物語的にも違和感なく、最も近距離で怪獣を映し出すことができる。ある意味、真新しい映像でした。

[音楽]
・大怪獣と戦うことはないのですが、その怪獣の壮大さを感じさせるスケールのBGMが映画館で観たい欲求を際立たせてくれます。

[演技・配役]
・キャスト陣が素敵です。主人公アラタを演じる山田涼介さんはとにかくカッコいい。若いのに落ち着いて年を重ねた感が溢れる雰囲気がとても素敵でした。その元恋人役の土屋太鳳さんもこれまでの作品とは異なる大人な雰囲気が出ていて、最初は「土屋さん?」と疑うほどに雰囲気がこれまでと異なった印象を受けました。主人公の同期の役を演じる濱田岳さんもこれまでのおちゃらけ役からは想像つかない総理秘書官らしいお堅さが輝いて見えました。

・そして、この3人を外側から固めてくれる 西田敏行さん や ふせえりさん、六角精児さん、MEGUMIさんなどの大御所俳優陣。主役3人は一切おちゃらけ要素がありませんが、大御所俳優陣の役柄はおちゃらけでしかない。笑 観客を飽きさせないお笑い担当の彼らの役には結構笑わせてもらいました。特に、ふせえりさんの役はわかりやすく笑いやすかったです。

[全体]・ネット上の評価をみるとかなり低くて、私が鑑賞前にみた評価点はなんと「2」💦 タイトルから想像する物語の視点は面白いはずなのに、なぜこうも低いのか、どんな酷さがあるのか、と逆に興味を惹かれて鑑賞してしまいました。
・結果として「楽しんで観れた」作品でした。個人的に評価「2(観ることなかったなぁ・・・)」という映画はまあまあありましたが、本作はその限りではなかったです。どちらかというと、観てよかったし、続編があるなら「今度はどういう切り口で攻めてくるか」を観たいなと思います。
・その思えた要因はおそらく「小さな笑いを散りばめて飽きさせない演出」「豪華なキャストが憎めないおバカを演じる演技」「気になるアラタの謎と大怪獣の行く末」「オチ(これは賛否分かれそうですが)」にあったのではないかと思います。加えて、怪獣と戦わないのに割と壮大なスケールの映像と音楽。続編もこういうテイストなら、映画館でポップコーンをつまみながら楽しんで観てもよいなぁと思えますね。ただ、何か感傷に浸りたいとか、哲学的なものを感じたいという作品ではありません。あくまでも大怪獣×群像劇×コメディ+ちょっと恋愛のエンタメ映画です。
・受け取り方に個人差が生まれそうな「大怪獣のあとしまつ」。なーんか暇だなぁという時に、一度観られてみてはいかがでしょうか。ありがとうございました。

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