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哭声 コクソンの3104Arataのレビュー・感想・評価

哭声 コクソン(2016年製作の映画)
3.6
<22年02月>
【心理的なハラハラがすごい。エンドロール直前まで観客の心を二転三転させてくれる哲学系ホラーミステリー】
・2016年公開の韓国のミステリーホラー映画。
・とある田舎の村「コクソン」で、村人が動機もなく家族を惨殺する事件が立て続けに発生する。主人公である警察官のジョングは、当初は「山の中に住む日本人が関係している」という意見に耳を貸さなかったものの、異常な状況を目にしていくつれて日本人を疑いだす。そして、自身の娘もおかしな言動が増え始め、次第に日本人と呪術が一連の事件と関連しているとして日本人の正体を追いつつ、祈祷師に娘の除霊をお願いする。除霊の儀式を行うも娘の容態は悪化していくことにしびれを切らし、ついに強硬的に日本人の居場所に押し掛ける。事件の真相とはいったい・・・ という大枠ストーリー。

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[お勧めのポイント]
・観客の「疑う心」を最後まで二転三転させてくれる
・答えがないようで答えがある
・散りばめられたヒントを追うために二度観したくなる
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[物語]
・この映画のポイントは「疑い」。キャラクターたちの「疑う心」、観客の「疑う心」。それらが二転三転させられます。観ているこちらも、最後の最後まで「結局犯人は誰で、事件の真相は何なのか」ということに翻弄されます。そういう意味では、エンディングロールに入るまでハラハラを継続させてくれる見ごたえのある物語だと思います。

[演出]
・主人公(追う側)視点で國村隼さん演じる日本人を魅せる際の不気味な感じ。逆に日本人(追われる側)視点で魅せる際のピンチな感じ。洞窟内で神父助手と話をしている際に天使か悪魔か不明瞭な状態の視点で魅せる色のない感じ。一人の人間を様々な角度から魅せることで、観ている側の印象がこうも変えられていることに驚きました。事実は一つのはずなのに、魅せられ方で捉え方が自然と変わっている自身の心の動きが面白くて、心理的なアトラクションにのせらている気分になりました。

[映像]
・農村風景が日本のそれと似ていて、どこか懐かしさを覚える心地よさがありました。

[音楽]
・際立って感じたことはありませんでした。

[演技・配役]
・主人公ジョングを演じる「クァク・ドウォン」さんは、一見、友達にいそうな顔立ちで「主人公?」と思ってしまうのですが、その親近感の沸く弱さの表現と次第に狂気じみていく際の目の鋭さ、このギャップがすごいなぁと思いました。
・韓国俳優さんに囲まれて國村隼さんが演じていることになんだか胸を張りたくなるような嬉しさがわきます笑 多くを話さない役柄なのですが、不気味さがすごいです。

[全体]
・エンドロールが始まると、「え?で、結局こういうことでいいの?」と多少思います。ただ、この映画のすごいところは、観客によって異なる可能性があるにせよ、一旦、それぞれの結論を出せるように構成されているところです。「悪魔とは」「日本人とは」「祈祷師とは」「女の正体とは」を観ている人がどう解釈するかによって、結論の色が決まります。が、それでもどうもモヤモヤが残って「え?で、結局こういうことでいいの?」と。そこで、他の方のレビューを見てみると、割と監督の意図に近いと思われる解釈ガイドが沢山あります。それを見て、90%近くの腹落ちができるので消化不良にならずに映画鑑賞を終えられるところが良かったです。
・私が解釈したこの映画の本質のさわりだけ言いますと、「事実(人やモノや出来事)は一つなのに、それを見る人次第でどうにでも移り変わる≒疑いの目でみればそれが事実に見えるもの」ということ。この実世界でも、様々なものを見聞きして解釈して、善悪を決めたりなどもしますが、果たしてそれが本当に「事実」なのでしょうか。今一度、冷静に物事を見つめなおしてみると、見える世界が変わるかもしれませんね。そんなことをそっと言われた気がします。
・心理的ハラハラで楽しませてくれるホラーミステリー系物語の裏に、哲学的なメッセージが見え隠れする映画。個人的には結構楽しめました。皆様も一度、鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

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#全体3.6 #物語3.7 #演出3.6 #演技3.6 #配役3.6 #映像3.5 #音楽3.5
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