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あの日のように抱きしめてのぴよぴよのレビュー・感想・評価

あの日のように抱きしめて(2014年製作の映画)
3.6
ドイツ🇩🇪のナチスとユダヤ人がらみの映画は胸がしめつけられる…でも歴史の事実だから目を背けちゃいけないといつも思う。

いきなり血の滲んだ包帯で顔をぐるぐる巻きにされた女性の登場。収容所から命からがら逃げて来たという彼女に何があったの?

粉々になった顔…何とか修復手術をして向かったのは、ユダヤ人の彼女を売った夫の元。でも妻は収容所で死んだと思っている彼は、彼女に気付かない。

しかも彼女を妻に似た女性と思い込み、偽の妻に仕立てて財産を受け取る計画を立てる。

なんて奴だ!妻を売った上に妻の顔も忘れ卑怯な謀をするなんて!本当は愛してなかったから妻の事もわからないの?

でも妻は自分に似ている女を演じながら、夫の気持ちを確かめたいと思ってる。"あの日のように抱きしめて"欲しいと願ってる。哀しくて切ない思い。

戦闘の場面も収容所の場面も無い。でも声楽家だった妻とピアニストだった夫は、戦争がなかったら幸せな夫婦だったのだろうか。引き裂かれた二人…いつの世も理不尽な戦争は人の運命も心をも変えてしまう。

集まった親戚一同の前で歌声を披露する妻…彼女の伴奏をしながら、妻と瓜二つの歌声を聴いて、夫は何を思うのだろう。

ささやくような声で歌い始める名曲"Speak Law"♫ 切ない響きが彼女の心そのもののようで、余韻が胸に残ります。
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