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神のゆらぎのriyouのネタバレレビュー・内容・結末

神のゆらぎ(2014年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

まずこの映画の「構造」と「内容」とに相反がある。それはこの映画の「構造」と「内容」が異なることを伝えているからだ。内容は「飛行機が落ちるのは全能の神が存在しないからだ」というセリフに集約されるように神を否定するようなものになっている。しかし、この映画は結末を知らせた状態で進む。飛行機は落ちるのだ。この描き方は物事が結末へ一本道に進むように感ぜられ運命論を意識させる。
では、神はどうゆらいでいるか。神のゆらぎが表れているのはあるひとりの老人においてである。飛行機事故で生き残った唯一の人間である。彼だけが結末の知られているこの映画の中で最後までどうなるかわからない。彼の容態は度々変動しゆらいでいる。そして遂に彼は死ぬ。これは一見神の否定である。奇跡は起きなかった。
しかしこの映画にはもうひとつゆらぎがある。それはエホバの証人の女性である。彼女は輸血の可否についてずっと葛藤している。そして遂に例の老人に血液を提供する。これはエホバの証人的には神の否定、冒涜である。だが彼は死んでしまう。これは神の否定の否定であるとも言える。
興味深い美しい映画だった。
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