雨丘もびり

グランドフィナーレの雨丘もびりのレビュー・感想・評価

グランドフィナーレ(2015年製作の映画)
3.5
控えめに言って、私はベッドで最高。

【following様の鑑賞リストから選んで観てみた】
わー映像美だけのシュール系だー、と思ったら違った(嬉)。
くすくす鑑賞。
アーティストの金言妄言暴言がちらばってる。おーいぇー。

脈絡なく登場するあいつらや、
まさかの人間ドラマを展開するこいつらを、
あぜんと眺める(ときどき茶化す)老巨匠2名が人懐っこくて可笑しい。

作品のように制御できない現実は、芸術家にとって違和感の世界。
自由を謳う歌は、規則でがんじがらめの"不自由な" 楽譜で表現される。
ままならぬ他者ばかりの世界は、不自然で居心地悪い。
まるでアーティストの視線で構築したような、美しくもぎこちなく、こっけいな現実世界。

【ピンとこなかったところ】
代表作、受賞歴、ヒット曲、あたり役。
"冠(かんむり)" の影響下にある芸術家たちが集う保養地。
そこから脱出すると、若さが手に入るとは・・・これ如何に???
自作映画のヒロインは思い人の焼き直しにすぎぬと気づいた老監督は、新作を撮ると息巻いてどこかへ消えた。
作曲家、自身の出世作となった曲を、若いメンバーで再演するよう思い切った理由がピンと来なかった。
若かりし頃の自分と恋人を、そのまま音楽にした曲。

ぎゃぼ、ムローヴァさま(♪o♪;)。

【監督と役者のダイアローグ】
問:死の床で、男は妻に何を言うか?
「僕は君との愛に人生をささげるべきだったのだ、かな」
「もっと平凡なことさ。身体を大切に、とか」
「最後まで肉体の苦痛を訴えるよ。モルヒネが効かない、とか」
「小さなことを思い出すかも。25年前に君からもらったキーホルダ、蹄鉄の形に似てたけど、どこやった?」
「男は何も言わない。しゃべるのは女だ。あなたのせいで私は人生を無駄にした、とね」

【作曲家とマッサージ師のダイアローグ】
「身体に触れると、いろんなことがわかります。
 触れるのを恐れる人の気持ちがわかりません」
「快楽を伴うからだろう」
「だからこそ話すより触れているほうが良いのです」
「人と話すのは嫌い?」
「私には、話すことがありません。」
 
・・・ちょっと要約できない映画(^^;)感想がまとまんない。
そのままにしておきます。2018.09.01の定点観測。

声も、過去も失った妻は、持てる力を振り絞り、窓の外に歌いかけている。