Mariko

太平洋の地獄のMarikoのレビュー・感想・評価

太平洋の地獄(1968年製作の映画)
4.3
catmanさんに教えてもらって、レンタルしてまで(笑)鑑賞。

太平洋戦争末期、太平洋の孤島に漂着した日米二人の軍人が、生き延びようとする中でなんとも奇妙な関係を築いていく、という話。この二人っていうのが三船敏郎とリー・マーヴィンで、最初っから最後までこの二人しか出てこないというのは、リー・マーヴィンとミフネ好きには夢のよう。だけど、よくこんなの作ったな(褒めてる)、しかもハリウッドらしからぬ作品。
68年作なので、リー・マーヴィンとしては『特攻大作戦』の翌年、三船敏郎的には『山本五十六』と同年。

観どころは、この二人の距離の縮め方に尽きる。漂着したのは自分だけではないとわかり、徐々に接近し、相手を捕虜にしてみたり(しかも関係は途中で逆転)けれど殺しあうでもなく、仲良くなるわけでもなく、、というところから、共同脱出計画に至る、という寸法。中盤は、ぶっちゃけ小学生男子のケンカレベル笑だけど、ここがおもしろい。当然ことばは全く通じないし文化も違うわけで、本人は大真面目でも相当ナンセンスに感じられるのでゲラゲラ笑いながらも、これが私がもし日本語がわからなかったら、英語がわからなかったら、と想像しながら観るとまた別の意味で楽しめる。リー・マーヴィンがミフネに"You are a dog, you see?"って言ってPlay fetchしようとするのとミフネが砂浜に枯山水作るくだりは最高過ぎて悶絶。

行きついた先の廃墟となっている元軍施設で "Don’t shoot! He is my friend!” と叫ぶ展開があってからの、二人で髭剃ってからのラストのあのぶっちぎり方はあまりに唐突。特典にある別エンディングの方だと、結局人と人というのは、わかり合えたように思えても所詮分かり得ないものだ、という締め方かな、とは思えるけれど、でもこれもそんなには納得できないかなあ。だからといってハッピーエンドはあり得ないし、じゃあどうだったらいいんだよ、と言われると困るやつ。

戦争をきっかけにしてはいるけれど、戦争映画ではまったくなかった。
Mariko

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