るる

アクアマンのるるのネタバレレビュー・内容・結末

アクアマン(2018年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

面白かったー! 子ども心を刺激された、けど、あんまり記憶に残らんな、エンタメ耐性がないと意外とわかりにくいのかも? 見たい海の色を見られたのは良かった。頑張って3Dで見れば良かったかな…

この器から溢れんばかりに話を盛った感じは好き! こんなややこしい設定の話を面白おかしく、良くやったなと思う、そこに尺使うなら、こっちの辻褄をもうちょっと丁寧に合わせておくれよ、と思った部分もあるけど。次の話へ次の話へ玉突きのようにサクサクと進んでいく、事故は起こってなかったと思う、うん

冒頭で、ああこのタイプの、おとぎ話、英雄譚ね、とスイッチを入れられたので良かったし、こういうスイッチを育んで、捨てずに持つことができて良かったなと思った。人魚姫だし、灯台守から『霧笛』も連想。

まさか、シガーロスのsaeglopurを映画館で大音量で聞けると思ってなくて、めちゃくちゃテンション上がってしまった、サビまで使われてたら泣いてたと思う、エンドロールでもう一度かからないかなー!?ってだいぶ期待したんだけど、かからず、残念…

さておき、ジェイソン・モモア、めっちゃくちゃカッコイイなー!? あんまりマッチョなデカイ男をカッコいいと思ったことなかったんだけど、カッコよかった、見返り姿が絵になる…!と思って。

潜水艦という閉鎖空間での戦闘、見応えがあって良かった。しかし、見捨てちゃうのか、冷酷というより、なんというか、大味だなと。

しかし、俺を置いてお前は逃げろ、生きろ、という展開にめちゃくちゃグッときてしまう、泣けてしまった、なんだろうな…『ゴジラ』でも『いつだってやめられる3』でもグッときてしまったんだけど、あれかな、原風景は『父と暮らせば』かな、もっと以前に見た作品で、あったかな、こういうシーン…フィクションを通して自分のルーツをさぐってるフシある

人種の話なんかあんまりしたくないんだけど、人種を意識した配役がなされている以上、そこも含めて見てしまう、
白人を襲う、黒人の海賊、ヒーローに邪魔されて、恨みを募らせて復讐を誓う黒人、乱暴なくらいのわかりやすさ、ステレオタイプなんだけど、現実の社会の、一部の反映だからいいんじゃないかなと思う、『ブラックパンサー』後だから成立してる表現というのが、ある気がする、むしろ今までが誤魔化されすぎていたのかもしれない、

海の荒くれ者、心は優しい、という感じの父子、良かったな…バーでみんなでセルフィー撮ってあげるの楽しすぎた。

メラのカラリーングが『リトル・マーメイド』のアリエルなんだけど、特に気にならないからすごい。かっこよかった。

津波にはちょっと、やっぱり、ぎょっ。どうしても、本物のほうが凄い映像だったよ、と思ってしまった。各国ニュースの声、微かに日本語も聞こえたような。

教育係のウィレム・デフォー、最高だったな、浅野和之にめっちゃ似てた。チョンマゲだったのは日本イメージというより、ハワイ他、ポリネシア、大西洋のイメージかな?

ジェイソン・モモアのルーツがハワイという…できすぎてるよな。そんなに俳優のルーツにこだわらなくても良くない? 血統主義に繋がって下品では? せっかく誰にでも変身できる演技の世界なのに、役に自分のルーツを載せなきゃいけないというのも変じゃない?という気もするけど、
それだけ人材が豊富ということもでもあるんだろうし、この役を演じられるのは、こういうルーツを持つ俺だけだ!という運命の出会いの物語が、複数湧き上がることで、多様性を宣言することにつながるわけで、まあ、必要な時代だよな…

過去回想がちょくちょくフラッシュバックのように差し挟まれる、もったいつけないスピード感が良かったと思う。

いつのまにか、もう、てらいなく『スターウォーズ』を真似しても良いことになったし、CG表現として上回ることができるようになったんだな、としみじみした。本家があんな感じだしな。映画の原体験の一つにエピソード1がある人間なので、海中都市の造形にはアガった。
漫画版ナウシカ、ドラえもん海底鬼岩城なんかも連想、ほらあの、タツノオトシゴに騎乗するあれ、ドラえもんだ!夢幻三剣士だ!ってワクワクした。

海中での決闘も見応えあって良かった。コロシアムはやっぱりアガる。メラさん、弟の許嫁なのかよ、兄が奪うのかよ、とは思ったけど。兄弟の確執の話…ってマーベルのソーとロキ、北欧神話かな? 兄弟にまつわる神話って他になにかあったっけ…

それにしても、七つの海全てを見せてくれるとは思ってもみなくて、なんて贅沢なのかと。まさか、砂海を見せてくれるとは。ディズニーの『アラジン』公開も控えてるしで、アメリカ映画における、中東描写への態度の軟化を感じたりした。『インディ・ジョーンズ』っぽさもあって良かったな。海から砂浜、砂漠へと地続きな風景からシンドバッドなんかを連想できてワクワクできた。

『ワンダーウーマン』に引き続き、また『ローマの休日』かよ、と思ったけど、人魚姫だし、舞台がイタリアだから良いのだ。バラを食べたメラを否定せずに、真似して食べてあげるアクアマン、めちゃくちゃ優しいー!ってニコニコしてしまった。

ピノキオだ、とか、地上の常識で海中の窮地を切り抜けるシーンにニヤッとできたので、伏線回収が微笑ましかった、いまどきエンタメ映画のなかでスタートレックだのゲームオブスローンズだの作品名がバンバン出るなか、絵本もといディズニーのピノキオ作戦で窮地を乗り切ったアクアマン、かわいさが増した感じ。まあでも海を舞台にした有名な作品って、たしかにパッと思いつかないしな…

シチリアでの戦闘、というか、屋根の上を逃げ走るの楽しかったな…ブラックマンタ、絶妙にダサい、昔ながらの海底人のシルエットなのが面白かった。自分で黒く塗ってたのも愛せたよな…頑張ってほしい

いつのまにか次の行先が決まってたよな。暗い海の上で光をかざして怪物を遠ざける、ちゃんとスリリングで。そして、予想はできたけど、生きていた母。

毎日、毎朝、桟橋で待ってる、あのシーンでまた涙が頬を伝うくらい泣いてしまった。ベタがストレートにキた。

しかしいつのまにかあの怪物を手なづけていて苦笑、アーサー王が伝説のモリを引き抜くのは想定の範囲内だから良いとして

アクションをちゃんと見せようとしてたのが良かった、アクションってある程度、場所に依拠すると思うので、いろんな場所で戦うあたり楽しかったし。
強いて言うなら海中のエアポケットでの戦闘、もうちょっと他の室内での戦闘と差別化して欲しかったところだけど…
最後のオームとの戦いが艦船の上でいいのかい? あからさまにアクアマンに有利では?『リトルマーメイド』の最終決戦はいかに人間を海中に引き込むかがポイントになってて見応えあって良かったよな、は思ったけど。

最後は母が登場して大団円、いや、メラの親父は? あいつが画策したもろもろをうやむやにしていいのか?と思ったけど。直近で大塚英志がポニョについて書いた文章を読んでいたこともあって、ああマザコンエンドだなあ、と思ったりしたけど、

海の話だし、まあ、母性の話、女神の話になるよなと納得。スターウォーズ新新三部作の着地点が母によっての解決だろうと予想していたこともあって、先越されてるじゃん、どうすんのエピソード9、と思ったりもして。

メラとアクアマン、もといアーサーのラブロマンス、もうあとちょっと、丁寧にやって欲しかった気もするけど。そのへん、許嫁だった弟のオームが絡むであろう、次作に期待かな。久々に好ましい男女カップルが現れて嬉しい、メラならアーサーに負けない、安心して応援できそう。

「王は国のために、英雄はeveryoneのために」ヒーローの定義を端的に。

アフリカ系とアジア系が手を組み、白人への復讐を匂わせたラスト、苦笑したけど、この構図に勇気をもらうアメリカ人は確実にいるのだろうと思う、『クレイジーリッチ!』を見た後だったこともあってしみじみした、

ジェイソン・モモアってネイティブ・アメリカの血を引く人でもあるのね、上手い配役、アクアマンが敵役の彼らをまるごと受け入れる展開も今後ありうると思わせてくれた、あの豪快さが、海のような包容力に変わる姿、期待したいな
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