るる

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビューのるるのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

余裕ない時期に見に行ったんだけど、最高だった。

冒頭からしてめちゃくちゃ良い。自己啓発音声から『ファウンダー』を連想したけど。最新トレンドとしてのマインドフルネス、尊敬すべき先人たち、ミシェル・オバマ、RBG、拾えたのでよかった。短いシーンで端的に人柄を伝える効果になってた。

最初、字幕翻訳がわかりにくい?と感じたのだけれど気のせいだろうか、

2020年6月のJKローリング・ショック以降、一部フェミニストによるトランスジェンダー女性排除の動きに心から失望し滅入っていたので、共同トイレの描写には、進んでるー!時代を捉えてるー!こうでなくちゃ!いまの映画だ!イマドキのヤングアダルト向けだ!と感動した。

どこかで見下していた、あそんでばかりに見えたチャラい奴らが実はみんな勉強ができる奴らで、と明らかになる、進学校あるあるだなあ!と思ってニヤニヤとムズムズが止まらなかった、よくもまあ卒業間際まで突っ走ったなと、初年度で勉強についていけなくなって周囲のノリについていけなくて脱落するひと結構多いのにな、自己肯定力たっかいな、とか色々思った、妙なリアリティを感じたな。。

モリーとエイミーとの友情、よかったねえ、よかった。

エイミーの両親、カトリックだがレズビアンの娘には理解を示そうとしている、でもあまりうまくいってない、あの描写、定番ながら新規性を感じられたのでよかった。親友モリーとの仲を疑われかけて、それは勘弁してよ、あるあるある、気にしちゃうよな、困っちゃうよな、と。良かったな。。過保護にも見える、きちんと気にかけて、理解しようとしてくれている、円満家庭ぶりはやや羨ましくもあった。

しかし、あ、割とだらだらとしたロードムービーになるのか、B級テイストなのかな、『ハングオーバー』的ななにか?とか思ったけど、ちゃんとギアチェンジがあったから良かった…良かったなあ。

先生がホットでクールで良かったな。理解者の大人の存在、ワクワクする。子供向けストーリーって大人への不信や子供の自立が軸となりがちだから、信頼できる、お手本となるようなカッコイイ大人の女性ってあんまり見たことないよなと気付いて新鮮だった。
しかし鑑賞中は特に気にならなかったけど、いわゆるマジカルニグロ的な役回りと見ることもできるな…こういうポジションを男性ではなく女性が演じている、それだけで新規性を感じてしまった、不均衡だな。。

演劇部のいけすかない男の子たち、笑っちゃったな、愛すべき子たちだった。しかし西洋って演劇の地位が高くていいよなあ、共通認識があるからイベント開催も比較的容易、羨ましかった。あの趣向、酷かったなあ、最高だった。

ドラッグの幻覚で人形になっちゃうくだり、最高だったな。このへんに踏み込んでくれるの!?と。人形の姿でコミカルに大事なことを語ろう、という演出にも嫌味がなくて良かった。バービー人形問題、『ゆれる人魚』でひっかかったこと、いろいろ思い起こさせてくれて、必要なセリフが全部あってよかった。
そう、『攻殻機動隊』以来、"人形愛"を個人的テーマとして持ってるんだけど、ラブドールや人工物としてのアンドロイドからいったん離れて、女児の愛玩対象としての人形、"ぬい"についてなど、女性目線で描くのは新鮮でアリだな、と思った、どこかで見たいな。とりあえず『ユリイカ』買うか。

謎の…女、彼女はまじでなんなんだ、素敵だったねえ。

初恋はアヴリル・ラヴィーン、カラオケの選曲はアラニス・モリセット、これって完全に、彼女たちよりも、ひと世代前の選曲じゃない? むしろ私たちの世代狙い撃ちじゃない? と思ったんだけど、どうなんだろう。

中学生の頃、アヴリル・ラヴィーンの歌詞カード見ながら机に落書きしてたこと思い出した、死にてえな 憧れだったんだよな、真似したいとは違う、でも、かっこよくて。都会に住んでたらライヴとかにもいけたのかもしれない、クラスにひとりだけ、洋楽の話できる子がいて、その子とは好みが合うわけじゃなかったんだけど、彼女に「アヴリルとか、あのへんが好きなんだよね」と趣味を理解してもらえてたことが思えばあの頃の救いだった、肯定されていたと思う そんなことを思い出しつつ

プールにダイブ、あの音楽、水に差し込む光、泣きそうになった、しかし、案の定…

苦かったな。勘弁してくれと思った。

しかし、本命ではない子とセックスを試みる、きっちり丁寧に描いてくれてよかったなあ、良かった、相手のセクシャリティについて明言されなかった点もいい塩梅だったとおもうな 

そして大喧嘩、音楽、スローモーションの演出、良かったなあ、切実さが良かった

車の中で、あの言い方はやめてほしい、と吐露される、最高だった、作品として見やすい、隙がない。

そしてクラスのイケてる奴、自分とは別世界の人間だと思ってた奴から傷口を見せられる、あの言葉にできなさ、みんな良い子、仲良くはなれないかもしれないけど、親切にはできるし、ある部分で連帯はできる、そのためにはお互いに礼儀が必要、友情とはまた違うけど…あの繊細さ、愛しく感じられてよかった 身に覚えもあり 間違いなくあれがモリーの成長になる、あのときごめんなさいを言えた、わだかまりを解消できた経験が今後の人生の宝物になる、人間関係につまづいたとしても乗り越えていける、自信になる、生々しく迫ってきたので沁みた

牢獄のエイミー、一夜にして自信と貫禄を身につけた様子が最高だった。カーチェイス!痛快だったけど、選曲はイマイチはまらなかったかもしれない。

しかし、卒業式のスピーチ!

最高だった、それこそ泣きそうだった。「みんな!ダサくならないでね!」そうだねえ、そうだよ それが一番難しいことかもしれんね と我が身を省みたり、学生時代の仲間たちの現在を想ったりした みんなダサくならないでほしかったよ これ以上ダサくならないでね 私も気をつけるよせめて志は気高くありたい 

金持ちだけど冴えない彼、良かったなあ 良かったよ

エイミー、モリーの描写に比べて、いつのまにか成長しちゃった感じがあるんだけど、それでもエモい、エモかったな。。

『ハーフ・オブ・イット』の物足りなかった部分、結末の明るさが本当に嬉しかった。最高の別れ方だった…良かったなあ。

しかし、タクシーの運転手、あのへんだけ、ゾォっとした。あの手口で女の子たちを山に連れて行って…ということでしょう、フェミニズム が前面に押し出された世界観だけに、伏線回収だー!と無邪気にテンション上げきれない、犠牲者の存在、その生々しさにヒヤッとはした。

結局、白人が主人公…とか、比較的裕福な高校生たちの物語、どうせなら家が貧乏な苦学生との関わりも織り交ぜて描いて欲しかったよ、とは思った。

進学校で、うちの親ブルーカラーだから!という先輩と出会って、初めてホワイトカラー、ブルーカラーという概念を知った、大学にもそう言った先輩がいた、あえてそういうことを明るく言ってみせた彼女たち、きっと彼女たちなりの不満や虚勢や皮肉が詰まった台詞だった、ああいう場面に陥ってどう反応すべきのか(こっちだって別に裕福じゃねえから!)客観的に見てみたかった気がする、

リベラル、フェミニスト内の経済格差について、やっぱり近々ガッツリ見たいな。

つれづれ!

映画館で観られてよかった!パンフレットはエイミーバージョンを購入。モリーバージョンも買えばよかったかな。BLMのステッカー他が貼ってあるノートのデザイン、カジュアルに社会運動への興味をファッションに取り入れて表せるかっこいい女の子たち、Z世代、憧れている、でも若返ることはできないので 大人として恥じないようにありたいと思う
るる

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